生の輝き

生の輝き

『生の輝き』は、1918年に製作され、翌1919年に公開された日本の初期映画です。配給は天然色活動写真（天活）が行いました。この作品は、同日に公開された『深山の乙女』と共に、日本映画に初めて女優が登場した作品として特筆されます。

概要

映画監督であり、映画理論家の帰山教正は、1917年に理論書『活動写真の創作劇と撮影法』を出版し、日本映画の革新運動を提唱しました。『生の輝き』は、帰山がその理論を初めて実践した監督作品であり、日本映画の表現に新風を吹き込みました。本作では、帰山が提唱した映画製作における革新的な試みが数多く取り入れられています。

• - シナリオの採用
• - 女優の起用
• - 字幕の使用
• - クローズアップなどの映画的手法の活用

これらの要素は、当時の日本映画としては画期的なものでした。特に、主演を務めた花柳はるみは、日本の映画女優第1号として知られています。

キャスト

• - 柳沢泰彦伯爵：村田実
• - 島崎照子：花柳はるみ
• - 照子の父：青山杉作
• - 山下純太郎：近藤伊与吉
• - 泰彦の父：帰山教正
• - 照子の妹：夏川静江
• - 照子の弟：夏川大吾

製作と公開

撮影は1918年6月頃から開始され、箱根でのロケーション撮影や、神田のキリスト教青年会館での人工光線撮影（不完全ながら）などが行われました。また、天活重役の賀田金三郎邸の庭でも撮影が行われ、夏川静江・大吾姉弟も子役として出演しています。同年7月中旬に完成し、桑原昴によって現像されました。

しかし、活動弁士たちの反発により、公開は1年遅れて1919年9月13日となりました。六本木の麻布館で『生の輝き』が、京橋の豊玉館で『深山の乙女』が同日に封切られました。

評価

作品の評価は分かれ、アメリカ映画の模倣だという意見や、模倣であってもその前進性を評価すべきだという意見がありました。

当時の映画雑誌『活動之世界』では、「『生の輝き』のー篇は、未だ単なる試作には過ぎないであろう。それは字幕に於ける試みであり、結構に於ての試みであり、そうして俳優の芸風に於ての試みである。けれども私はこれを単に彼等に依っての試みであるとは思いたくない。それは日本映画界にとっての試みである。…」と評され、日本映画界における新たな試みとして評価されました。

現状

残念ながら、『生の輝き』のフィルムは紛失しており、現在鑑賞することはできません。しかし、その革新的な試みは、日本映画史において重要な足跡を残しています。

外部リンク

• - 生の輝き - 日本映画データベース
• - Sei no kagayaki - IMDb（英語）

もう一度検索