生出村

生出村（おいでむら）

生出村は、1956年まで宮城県名取郡北部にあった村で、現在の仙台市太白区茂庭・坪沼、そして茂庭台の一部（青葉区も含む）にあたる地域に存在していました。

地理

生出村は、太白山を背景に、名取川と碁石川が流れる自然豊かな地域でした。これらの河川は、農業用水源としてだけでなく、村の景観を形作る重要な要素でした。

• - 山岳: 太白山
• - 河川: 名取川、碁石川

歴史

初期の村政と地方改良運動

1889年4月1日、町村制の施行により生出村が発足しました。初代村長には長尾四郎右衛門が就任し、茂庭の旧領主である生出小学校校長・茂庭秀福の協力を得て、村の振興に尽力しました。

1892年には馬越石トンネルを開削し、交通の便を向上させました。また、1893年には「本村養蚕業奨励法」を制定し、1896年には製糸工場を設立。原料生産から製品販売までを一貫して行う体制を整え、養蚕業を村の主要産業へと育て上げました。さらに、山林資源の利用法を薪炭利用から木材利用へと転換し、針葉樹の植林を積極的に展開。1907年には150万本もの植林を達成しました。

これらの産業振興策により、村民の所得は大幅に増加し、補助金に頼らない自立した村政運営を実現しました。生活水準の向上と教育施設の整備は、学童就学率をほぼ100％にするという成果をもたらしました。

1902年2月に策定された「宮城県名取郡生出村村是調査書」は、翌年の第五回内国勧業博覧会で高い評価を受けました。これが前田正名の目に留まり、生出村の村是は郡是・市町村是の模範事例として紹介され、千葉県山武郡源村、静岡県賀茂郡稲取村と共に「日本三模範村」として広く知られるようになりました。

1905年5月1日には「行道会」を設立。役場と学校が連携し、社会教育や農事改良に取り組みました。女子部では、家事、看護、育児などの指導が行われ、地域全体の生活水準の向上に貢献しました。

沿革

• - 1889年4月1日: 町村制施行に伴い、茂庭村と坪沼村が合併し、生出村が発足。村名は、太白山の別名である「生出森（おいでもり）」に由来します。
• - 1956年4月1日: 仙台市に編入され、生出村としての歴史を閉じました。

行政

首長

• - 歴代村長については、詳細な記録が残っています。

地域

教育

生出村は、教育にも力を入れており、以下の学校を設置していました。

• - 生出村立生出小学校
• - 生出村立生出小学校赤石分校
• - 生出村立生出小学校折立分校
• - 生出村立坪沼小学校
• - 生出村立生出中学校

これらの学校は、地域の子どもたちの教育を支え、地域社会の発展に大きく貢献しました。

交通

生出村には、秋保電気鉄道が通っており、以下の駅が設置されていました。

• - 北赤石駅
• - 茂庭駅
• - 萩ノ台駅
• - 太白山駅

これらの駅は、村の人々の移動手段として重要な役割を果たしていました。

参考文献

• - 平成『仙台市史』（宮城県仙台市）

- 通史編6〔近代1〕（2002年）
- 資料編8〔近代現代4〕別冊資料（2006年）

関連項目

• - 宮城県の廃止市町村一覧

外部リンク

• - 「もうひとつの仙台 おいで」（[仙台市]]市民センター）

- [創刊号
- 第2号
- 第3号
- 第4号
- 第5号

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