生活総和

生活総和（せいかつそうわ）とは

生活総和は、北朝鮮における強制的な反省会のことを指します。この集会では、参加者が互いに自己批判や相互批判を行うことで、国の体制に対する忠誠心を確認する役割を果たしています。朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の体制における重要な要素であり、学校や職場などで定期的に行われます。

概要

北朝鮮では、朝鮮労働党の全ての構成員や、有権者、教育機関の生徒、さらには軍人たちまで、生活総和のシステムに組み込まれています。特に軍隊に関わる組織は、大きな影響力を持っています。このシステムは全国的なもので、国民全体に及んでいます。実際、北朝鮮の最高指導者である金正恩も時折、自己批判的な発言をすることがあります。

毎週、学校や職場で行われるこの会議では、参加者は自分自身の行動や態度について反省し、友人や同僚の短所について批判しなければなりません。これにより、金日成、金正日、金正恩親子に対する忠誠心を確実に見ることができます。脱北者によると、北朝鮮の教育制度は幼少期から思想教育を重要視し、5歳から親族の肖像に対して感謝の意を表すような行動をしつけられます。

方法

生活総和は、参加が強制されるため、多くの人々は内心で憤りを感じる一方、拒否することは許されません。この制度に参加しないことが他者からの批判の対象となるためです。内容としては、日々の行動に関する批判とその弁解が中心になりますが、相手への攻撃に用いるケースも多く見られます。このような批判は、人間関係に亀裂を生むことがしばしばあります。

また、北朝鮮においては政治的に敏感な話題は禁忌であり、些細な欠点やミスを糾弾することさえ求められます。言い回しや表現の仕方にも独特のルールが存在するため、場合によっては「虚偽の批判」を強いられ、他者を攻撃する手段として使われることも少なくありません。

影響

生活総和の影響は国内にとどまらず、在日朝鮮人のコミュニティや新左翼運動にも波及しています。特に、日本における「連合赤軍」に関連した事件では、仲間内の総括が暴力的な結果をもたらしたこともあり、これが北朝鮮から受けた影響によるものだと考えられます。このように、生活総和は単なる自己批判の場を超え、社会全体に深い影響を与える制度であると言えるでしょう。

生活総和は、北朝鮮の独裁体制を支える重要な手段とされ、国民の思想や行動を強く操る一つの形式として機能しています。これにより、北朝鮮社会に根付く相互不信や、密告文化が醸成されています。

もう一度検索