生駒則正

生駒則正について

生駒則正（いこま のりまさ）は、大和宇陀松山藩の家老として歴史に名を刻んだ人物です。彼の家系は谷氏に起源を持ち、初代の忠親が美濃で織田信雄に仕官したことから、生駒氏を名乗ることを許可されました。この家系は代々、三左衛門という名を受け継ぎ、藩内では有力な名門として知られていました。

家系の沿革

則正の家系は、初代忠親から始まり、彼の弟である範親が2代目を継承しました。さらに、範親の子である則旦が3代目、則旦の子である則親が4代目を務めました。各代は家老としての重責を担い、藩内の運営に貢献しました。このように、生駒氏は世代を超えて藩の要職を担う名門として名を馳せていました。

則正の生涯

寛文4年（1664年）、生駒則正は宇陀にて家老・則親の長男として誕生しました。母は藩主織田長頼の庶兄、津田勝広の娘であり、彼自身も藩主に仕える運命を背負っていました。早くも延宝6年（1678年）、彼は藩主長頼の小姓として仕官し、その後、段階を経て貞享2年（1685年）には組頭に昇進します。

元禄6年（1693年）、父の隠居に伴い家督を相続し、1,500石の禄高を持つ家老となりました。このころ、藩主は長頼から信武に代わり、則正は信武に仕官します。彼は忠義を尽くし、藩のために尽力することを誓い、藩内の状況を健全に保ちました。

しかし、物事は次第に厳しさを増します。元禄7年（1694年）、則正は中老・田中安定と共に、信武の寵臣である中山正峯が公金を横領しているとの不正を訴えました。この行動は、信武の怒りを買うこととなり、飽くことのない清廉潔白を求めた結果、悲劇がもたらされることになります。

そして、彼は9月29日に上意討ちで命を落としました。享年31という若さでした。この残忍な事件により、彼の弟則之も切腹を命じられ、さらに則正の子則定や主馬兄弟も斬られるという誤解を招いた事態が続きました。生駒家は大いに揺れ動き、隠居した則親の夫婦は禁固され、妻は甥に預けられることとなりました。

この騒動は幕府へも届き、信武は重臣二人の死に対する釈明ができずに、自ら命を絶つ結果となります。この騒動は「宇陀崩れ」として知られ、信武の後を継いだ継嗣信休はその責任を問われ、8000石の減封とともに丹波柏原藩に転封されることとなりました。

生駒則正の短い生涯は、藩内でも重要な出来事の一つとして語り継がれています。その影響は、家族の悲劇や藩の運営にまで及び、歴史の中でその名は残り続けています。彼の生き様は、権力闘争の悲劇と不正に対する怒りを物語る一面を持ち、当時の社会情勢を反映したものでもあります。

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