生駒正俊

生駒正俊

生駒正俊（いこま まさとし）は、江戸時代前期に讃岐国高松藩の第3代藩主を務めた武将、大名です。第2代藩主である生駒一正の長男として生まれ、父の後を受けて藩主となりましたが、短い生涯を終えました。

誕生と家督継承

正俊は天正14年（1586年）に、父・生駒一正の長男として誕生しました。母は堀秀重の娘です。生駒家は戦国時代から江戸初期にかけて、時の権力者に仕えながら勢力を広げ、父一正の代には讃岐国十七万三千石の大名家となっていました。正俊は、こうした生駒家の嫡男として育ちました。

慶長15年（1610年）、父の一正が死去したことに伴い、正俊は生駒家の家督を継承し、第3代高松藩主となりました。この時、正俊は数え年で25歳でした。若くして大藩の藩主という重責を担うことになり、父から引き継いだ領国経営や、江戸幕府が確立されていく新時代の体制への対応などが求められました。

大坂の陣での役割

正俊が藩主となって間もない慶長19年（1614年）、江戸幕府と豊臣家との間で大坂冬の陣が始まり、翌年には夏の陣へと続きました。これは、江戸幕府を開いた徳川家康が、豊臣家の残存勢力を排除するための最終決戦でした。

讃岐高松藩主として、正俊も徳川方の一員としてこの戦いに参加しました。彼はこの戦役において「遊軍」として配置されました。遊軍とは、特定の戦線に縛られず、戦況に応じて柔軟に投入される機動部隊であり、その働きは戦局に大きな影響を与える可能性がありました。正俊は遊軍としての役割を担い、大坂の陣における勝利に貢献したと記録されています。

短命とその後

大坂の陣が終結し、幕府の支配体制が確立されていく中で、正俊は藩主としての務めを果たしました。しかし、その治世は約11年間と短く、元和7年（1621年）に36歳で死去しました。短い治世のため、特筆すべき具体的な治績は史料に乏しいものの、藩主として生駒家の維持に努めた期間でした。

正俊の死後、家督は長男の生駒高俊が継ぎました。しかし高俊は父の死去時、まだ11歳という幼さでした。そのため、高俊の外祖父である藤堂高虎が後見人として藩政を補佐することとなりました。幼い藩主と後見人の存在は、当時の大名家において、家中の対立や騒動の火種となることも少なくありませんでした。

正俊の正室は藤堂高虎の養女でした。また、長男高俊のほか、生母不明の子女として、藤堂高義室、池田輝澄室、藤堂長正正室といった他家へ嫁いだ女子や、男子の生駒正慶がいました。これらの婚姻関係は、生駒家が周辺の有力大名家との間に姻戚関係を結び、家の安定を図っていたことを示しています。

生駒正俊と父一正の菩提寺は、香川県高松市にある臨済宗の寺院、龍松山 法泉寺です。生駒正俊は、短い生涯ながらも、父から子へと家督を繋ぎ、天下分け目の大坂の陣を戦い抜いた、生駒家にとって重要な藩主の一人です。

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