産業内貿易

産業内貿易の概要

産業内貿易（Intra-industry trade）は、同じ産業に属する財やサービスを他国との間で互いに輸出し入れする貿易形態です。この概念は、同一の産業内で発生する貿易が、理論的にはあまり想定されていないものであることから注目されています。伝統的な貿易理論では、特定の国が特定の産業の財を輸出すると、その国は同じ産業の財を輸入しないという前提があります。この考え方は、国が持つ生産の技術や要素の違いに基づいていますが、実際の経済活動では異なった事例が見られます。

伝統的理論と産業内貿易の関係

古典的なリカード・モデルやヘクシャー＝オリーンモデルは、産業間貿易を基にした予測を行い、国家間の生産能力の違いを強調しています。そのため、同じ産業内での貿易が起こる理由を説明するためには新たな視点が必要です。例えば、2002年の統計データでは、ヨーロッパ全体で260万台の自動車が輸出され、220万台が輸入されています。また、日本では470万台の自動車が輸出され、30万台が輸入されています。これらは、明らかに同じ自動車産業内での貿易活動です。

新しい視点からの説明

新たな理論として、ポール・クルーグマンの新貿易理論が広く受け入れられています。彼の理論では、企業は一定の固定費用を負担する中で、市場における規模の経済を活かし、海外市場に対しても積極的に輸出を行うことに焦点を当てています。消費者にとっては同じジャンルの商品でも様々なバリエーションを選択することが好まれるため、異なる国からの製品を取り入れることが効用を高めることに繋がります。この理論は産業内貿易がなぜ発生するのか、より具体的な視点を提供しています。

産業内貿易の種類

産業内貿易には主に三つのタイプがあります。1つ目は「同質財の産業内貿易」で、同一価格帯の財の貿易を指します。例えば、価格帯が近い同じ種類のパソコンの輸出入です。2つ目は「水平的に差別化された財の産業内貿易」で、同じニーズを満たすが異なる特徴を持った商品間の貿易です。3つ目は「垂直的に差別化された財の産業内貿易」で、高品質な財を輸出し、同時に低品質な財を輸入する場合です。

測定と指数

産業内貿易の広がりを測るためには「グルーベル＝ロイド指数（GL指数）」などの指標が使われます。この指数を利用することで、貿易パターンを定量的に測定し、同一の産業をどのように分類するかによってその程度が変化することがわかります。たとえば、パソコンと携帯電話という異なる製品を同じ「電化製品」として扱うか、異なる産業に分類するかで、産業内貿易と見なされるかどうかが変わってきます。


上記のように、産業内貿易は国際貿易において重要な役割を果たしており、経済成長や技術革新にも影響を与える要因と考えられます。

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