田上富久

田上 富久（たうえ とみひさ）

田上富久は、1956年12月10日に生まれた日本の政治家で、長崎県長崎市の市長を4期にわたって務めました。彼は市政活動において、強いリーダーシップを発揮し、地域の発展や平和活動に注力した人物です。

来歴

市職員としてのキャリア

田上は長崎県五島市の出身で、長崎県立長崎南高等学校を卒業。その後、九州大学の法学部を経て1980年に長崎市役所に入庁しました。彼は市職員として26年以上のキャリアを持ち、特に広報や観光部門での経験が豊富です。観光部では観光振興課主幹として、地域の魅力を発信する活動にも積極的に参加しました。

2006年には「長崎さるく博」の提案者となり、自らも「さるくガイド」として観光に関与しました。これらの活動を通じて、彼は市民との交流を深め、地域活性化に寄与しました。

市長選への挑戦

2007年に長崎市長であった伊藤一長が射殺されるという事件が発生したことを受け、田上は急きょ市長選に立候補することを決意しました。選挙活動は非常にタイトなスケジュールで行われ、短期間での準備となりましたが、田上は「市民力」を掲げ、市政を家族や個人のものとしてではなく、全ての市民の共有物として捉える姿勢を示しました。その結果、彼は横尾誠をわずか953票の差で破り、市長に当選しました。

市長としての政策と活動

田上は2007年4月25日に市長に就任し、すぐに多くの市政活動に着手しました。彼は市民との対話を重視し、「ちゃんぽんミーティング」を開催。市民とのコミュニケーションを活発化させました。観光客を対象にしたガイド活動や、平和活動にも積極的に取り組みました。

特に、原爆投下についての意見や核廃絶への取り組みを強く表明し、平和宣言文においても核廃絶を支持する姿勢を示しました。また、LGBTへの理解を深めるための「パートナーシップ宣誓制度」を導入し、地域のダイバーシティを尊重する姿勢を打ち出しました。

選挙歴と市民との関係

彼は2011年、2015年、2019年と3回の市長選に立候補し、いずれも当選を果たしました。2015年には他に立候補者がいなかったため無投票で再選となりました。市政の多くの分野で、新しい取り組みや政策を進める中で、市民からの支持を受け続けました。

2022年12月には次期市長選に立候補しないことを表明し、2023年4月25日に長崎市長を退任しました。彼の市長在任中の活動は、平和や市民の幸福を重視したものであり、その影響は今も長崎の地域社会に根付いています。

田上富久の政治的な取り組みや市民との関わりの深さ、そして彼が地域にもたらしたさまざまな変革は、長崎の歴史の一部として多くの市民に記憶され続けることでしょう。

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