田中康政

田中康政

田中康政（たなか やすまさ）は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将です。筑後国初代国主・田中吉政の子として生まれました。

生涯

父・吉政が関ヶ原の戦いでの功績により筑後柳河藩に封じられると、慶長6年（1601年）9月、康政は筑紫広門が築いた福島城（現在の八女公園）の大規模な改修・拡張を行い、3万石を与えられ城主となりました。

慶長14年（1609年）2月に父・吉政が死去すると、康政は口訥の病（吃音症）があり病身で虚弱であったため、弟の忠政が家督を継ぎました。

慶長20年（1615年）の大坂夏の陣において、忠政が遅参したことについて、康政は忠政が豊臣方に内通していた疑いがあると江戸幕府に訴え出ました。忠政は急ぎ江戸に出府し藩邸で謹慎、重臣・田中采女が幕府の要職者に弁明したことで事なきを得ましたが、幕府は訴え出た康政を咎めず、分知して別家を立てさせるという裁定を下しました。元和3年（1617年）、忠政からの願い出という形で、生葉郡・竹野郡2郡および山本郡半郡で3万石を分知されました。

元和6年（1620年）に忠政が死去し田中家が改易されると、康政も所領を失いました。近江国で1万石を賜りましたが、これを辞退したとされています。これは弟を誣告したことを恥じたためと言われています。

その後、康政は洛外に隠棲し、間もなく死去しました。

参考文献

篠原正一『久留米人物誌』久留米人物誌刊行委員会、1981年。
林洋海『久留米藩』現代書館〈シリーズ藩物語〉、2010年。

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