田中聡 (プロデューサー)

田中 聡（たなか さとし）

日本の実業家、イベントプロデューサー（1953年 - 2008年1月10日）。

人物・来歴

田中聡氏は、1953年に兵庫県姫路市に生まれました。後に父親の仕事の関係で埼玉県浦和市（現在のさいたま市）に移り住みます。浦和市立常盤中学校を卒業後、埼玉県立浦和西高等学校に進学しますが、この時期に発生した制服の自由化などを求める学生運動において主導的な役割を担い、停学処分を受けました。学生運動の中では、主体と変革派系の埼玉高校生社会主義研究会に参加し、議長を務めるなど活動を展開しました。その後、駒澤大学に進学するも、自然退学しています。

政治活動は続き、1972年には新左翼組織である労働者共産主義委員会（通称：怒濤派）に加盟しました。しかし、1973年から1974年にかけて、同派内における軍事方針をめぐる激しい思想的対立が発生し、これを契機に組織を離脱。以降、政治活動から距離を置き、音楽を中心とした文化活動へと傾倒していきます。

1970年代初頭、20歳を迎える頃には東京から京都へ生活拠点を移しました。関西地方を活動の中心とし、神戸まつりやロックイン六甲といった大規模なロックコンサートのプロデュースを手がけるなど、イベントプロデューサーとしてのキャリアを本格的にスタートさせます。また、関西フォーク界と深いつながりのあった片桐ユズルや中山容らが提唱するオーラル派にも属し、自作の詩の朗読活動にも積極的に取り組みました。新宿ロフトでのパフォーマンスや四国地方への巡回ツアーに参加するなど、その活動範囲は広がりを見せます。1979年には、片桐ユズル、中山容と共に、「中村哲」のペンネームで、詩集『ほんやら洞の詩人たち』（晶文社）を刊行しました。

音楽活動と並行して、ロックやブルース、フォークといったアメリカ音楽のルーツを探求するため渡米を決意。1980年代の大部分をアメリカ合衆国で過ごしました。アメリカではコロンビア大学教育大学院の修士課程を修了しています。帰国後、三井物産の情報産業本部に勤務。衛星放送やケーブルテレビといった通信放送関連の事業に携わるなど、ビジネスマンとしても経験を積みました。

2003年6月には、株式会社エフエム京都（α-STATION）の取締役に就任。その後、代表取締役専務として経営に深く関わることになります。エフエム京都での活動においては、単なる経営にとどまらず、京都の音楽とアートシーンの活性化を目指し、数々の文化イベントを企画・実施しました。代表的なものとしては、音楽イベント『COOLBEAT IN KYOTO』や、かつてのポエトリーリーディングの経験を活かした詩と朗読のイベント「KYOTO SPOKEN WORDS SLAM」などがあります。これらの活動を通じて、京都の文化振興に大きく貢献しました。

教育分野においても貢献があり、2006年4月には京都造形芸術大学芸術表現・アートプロデュース学科の非常勤講師に就任し、メディア論を担当しました。

2008年1月10日、心不全のため惜しまれながら急逝しました。54歳でした。同年2月23日には、彼の功績を偲ぶ追悼イベント「しのぶ夜 GO TO HEAVEN」が開催され、京都造形芸術大学の学生をはじめ、佐野元春氏、矢野真紀氏といった親交の深かったアーティストらが多数出演し、故人を偲びました。

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