田中謙二

田中謙二：中国古典文学研究の泰斗

田中謙二（1912年12月6日 - 2002年11月17日）は、20世紀の日本における中国文学研究を牽引した人物です。滋賀県に生まれ、中国古典文学、とりわけ戯曲研究において多大な功績を残しました。

学歴と職歴

田中は京都帝国大学文学部支那文学科で中国文学を深く学び、1937年に卒業しました。1944年には安田二郎と共に北京へ留学し、研究に励みました。戦後は、天理大学助教授を経て、京都大学人文科学研究所助教授、後に教授へと昇進しました。1962年には、学位論文『西廂記の研究』を京都大学に提出し、文学博士号を取得しています。1977年に京都大学を定年退官後は、名誉教授となり、その後は関西大学教授として後進の指導にあたりました。

研究内容

田中の専門は中国の古典文学であり、特に元曲などの戯曲を主要な研究対象としていました。彼の研究は、単なる文学作品の解釈に留まらず、その背景にある中国の文化、社会、そして言葉そのものにまで及んでいます。中国の伝統的な演劇が持つ文化的意義を明らかにし、言葉の変遷を追うことで、中国社会の深層構造に迫ろうとしました。

業績

学位論文でもある『西廂記の研究』は、彼の代表的な業績の一つです。また、多数の論文や著書を通じて、中国古典文学研究の発展に大きく貢献しました。

主な著書として、以下のものが挙げられます。

『田中謙二著作集』(全3巻) 汲古書院 2000
1巻『戯曲研究』
2巻『文学・語学研究、元典章文書の研究』
3巻『朱門弟子師事年攷ほか』

また、研究成果をまとめた記念論文集も刊行されています。

『中国古典戯曲論集』田中謙二博士頌寿記念論集刊行会編 汲古書院 1991


田中の学問に対する真摯な姿勢と、中国古典文学への深い愛情は、多くの研究者や学生に影響を与えました。彼の研究は、今日においても中国文学研究の基礎として、重要な位置を占めています。

資料

井上泰山・植松正・筧文生「先學を語る：田中謙二博士」『東方学』128, 東方学会, 2014年, 169-206頁.

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