田丸徳善

田丸徳善：日本の宗教研究をリードした巨匠

田丸徳善（1931年-2014年）は、20世紀後半から21世紀初頭にかけて活躍した日本の著名な宗教学者です。東京大学および大正大学で名誉教授の称号を授かり、その専門は比較宗教文化論と宗教思想史に及びます。仏教、キリスト教、神道など、多様な宗教への造詣が深く、日本の宗教研究に多大な貢献を果たしました。

東京府荏原郡に生まれた田丸は、1953年に東京大学文学部宗教史学科を卒業後、1955年から4年間、西ドイツのボン大学に留学し研鑽を積みました。帰国後は、ロックフェラー財団研究員を経て、東京大学助手、立教大学助教授、そして東京大学文学部助教授、教授と、日本の主要大学で教鞭を執りました。1991年に東京大学を定年退官した後も、大正大学文学部教授として後進の育成に尽力し、2001年には大正大学名誉教授となりました。

その学問的活動は多岐に渡り、日本宗教学会会長、比較思想学会会長といった要職も歴任しました。単なる研究者としてだけでなく、日本の宗教研究を牽引する指導者としての役割も担っていたことがわかります。弟子には、鶴岡賀雄氏など、現在も第一線で活躍する多くの研究者を輩出しています。

田丸の学問的業績は、膨大な著書、共著、編著によって裏付けられています。代表的な著書として『宗教学の歴史と課題』があり、日本の宗教学における重要な問題点を鋭く分析しています。また、共著・編著としては、『日本人の宗教 1-4』、『講座宗教学』全5巻、『仏教文化事典』など、日本の宗教文化を多角的に理解する上で欠かせない古典的名著を多数世に送り出しました。さらに、『現代天皇と神道 シンポジウム』、『宗教 いのちの深層をさぐる』、『アジアの宗教と精神文化』など、現代社会における宗教の役割を深く考察した著作も発表しています。国際的な視点も持ち合わせ、英語で執筆された共編著『Religion in Japanese culture』も出版しています。

翻訳活動にも積極的に取り組み、『マサダ ヘロデスの宮殿と熱心党最後の拠点』、『パウル・ティリッヒ〈1〉生涯』、『宗教現象学入門』など、海外の重要な宗教研究文献を日本語に紹介することで、日本の宗教研究の国際化にも貢献しました。

田丸徳善の研究は、特定の宗教に偏ることなく、比較宗教学の立場から多様な宗教を深く理解しようとする姿勢が貫かれています。その学問的貢献は、日本の宗教研究に大きな影響を与え続け、現代の宗教研究者たちに多大な啓発を与え続けていると言えるでしょう。彼の著作は、宗教を専門とする者のみならず、一般の人々にとっても、宗教を理解するための貴重な手がかりとなるでしょう。

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