田口町

田口町の概要と歴史

田口町（たぐちちょう）は、かつて愛知県北設楽郡に存在した町であり、現在は設楽町の中心市街地に該当します。歴史的には、江戸時代に三河国設楽郡に属し、天領や寺社領があった地域です。明治時代に入ると、町は大きな変革を迎え、さまざまな合併や町制施行を通じてその姿を変えていきました。

歴史の流れ

• - 江戸時代: この時代、田口町は独自の発展をしており、商業や農業が栄えました。特に天領としての役割が大きく、地域住民は自由な交易を行っていました。

• - 明治11年（1878年）: 郡区町村編制法の施行に伴い、設楽郡は二つに分割され、北設楽郡役所は田口村に設置されました。この年、複数の村が合併し、田口村が誕生します。具体的には、中島村、西路村、東路村、田口町村が統合されて、田口村としての基盤が固まりました。

• - 明治22年（1889年）: さらに多くの村が合併し、田口村が誕生。これにより、地域の統合が進み、住民の自治能力も向上しました。

• - 明治30年（1897年）: 段嶺村の一部が田口村に編入され、土地が広がりました。

• - 明治33年（1900年）: 町制が施行され、田口町として新たな出発をしました。これにより、行政区としての独立性が強化されます。

• - 大正時代: 町の行政機能はさらに整備され、1926年には北設楽郡役所が廃止され、1942年には北設楽地方事務所が設置されました。1948年には自治体警察である田口町警察が発足し、地域の治安維持に貢献しましたが、1951年にはこれが廃止され、北設楽地区警察署に吸収されました。

• - 昭和中期: 1955年には北設楽地方事務所が廃止され、愛知県田口事務所が設置されるなど、町の行政機能は変化していきました。1956年には段嶺村や名倉村との合併が行われ、設楽町が成立します。

交通と教育

田口町にはかつて田口鉄道が走っており、長原前駅、清崎駅、三河田口駅が設置されていました。交通インフラの整備は地域の経済活動や住民の生活に大きく寄与しました。

教育面においては、田口町立の各種学校が設置され、地域の子供たちに教育を提供していました。田口小学校、清崎小学校、八橋小学校などが存在し、多くの生徒が通っていました。特に、田口中学校は地域統合後もその役割を果たし続けました。

電気供給の歴史

田口町では1924年まで、町内の事業者が電気供給を行っていました。その先駆けは1917年に始まり、「田口電灯合資会社」が町内で初めての電気事業を展開しました。この事業は後に三河木材株式会社に引き継がれ、1924年からは豊川電気が供給を担当しました。電気の供給は地域に浸透していきましたが、一部の地域では供給が遅れることもありました。特に八橋地区では、水力発電所を利用して独自の電気供給を行う産業組合が設立され、町内のニーズに応える形になりました。

田口町はその長い歴史を通じて地域社会がどのように発展してきたかを示す重要な場所であり、現在の設楽町の形成にも寄与しています。その軌跡をたどることで、地域文化や社会の変遷が見えてきます。

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