産業組合

産業組合とは

産業組合は、1900年に公布された産業[[組合法]]に基づき設立された、日本の協同[[組合]]です。その活動は、現在の農業協同[[組合]]（JA）、信用金庫、信用組合、生活協同[[組合]]（生協）など、様々な協同組織のルーツとなっています。産業組合は、地域社会における経済活動と人々の生活を支える重要な役割を担っていました。

事業内容

産業組合は、主に以下の4つの事業を行っていました。

信用事業: 組合員からの貯金を受け入れ、生産や生活に必要な資金を貸し付ける金融サービスを提供しました。為替業務も取り扱いました。
販売事業: 組合員が生産した農産物などを共同で販売することで、より有利な価格での取引を目指しました。
購買事業: 組合員の生産に必要な資材や、日常生活に必要な物資を共同で購入し、供給しました。
利用事業: 組合員が個人では所有しにくい生産・生活関連施設を共同で設置し、利用できるようにしました。

当初は信用事業と他の事業の兼営は認められていませんでしたが、1906年の産業[[組合法]]改正により、兼営が可能となりました。

歴史

前史

産業[[組合法]]の成立以前にも、頼母子講（無尽講）や報徳社などの勤倹貯蓄組合、販売・購入組合などが自発的に生まれていました。また、ドイツの協同[[組合]]を参考に、品川弥二郎や平田東助らが信用組合法案を構想しましたが、帝国議会での審議未了で廃案となりました。その後、農商務省によって法案が整備され、1900年にようやく産業[[組合法]]が成立しました。

農村への普及

当初、産業組合は信用事業を中心とした農村組合として組織されることが多く、構成員も富裕な地主や上層農民が中心でした。しかし、日露戦争後、疲弊する農村経済の維持・発展を目指す産業組合運動が盛んになり、全国に普及しました。

1905年には、全国農事会会長の加納久宜が全国産業組合役員協議会（後の全国産業組合大会）を開催し、大日本産業組合中央会が創設されました。これにより、産業組合は全国的な組織として系統化が進められました。

昭和恐慌と産業組合

1930年の昭和恐慌は、農村経済に深刻な打撃を与えました。これに対し、政府は1932年から農山漁村経済更生運動を開始し、産業組合がその中核的な役割を担うことになりました。

政府は、産業組合が未設置の町村での設立を推進し、信用・購買・販売・利用の4つの事業を兼営することを推奨しました。また、農家組合を産業組合に加入させやすくするため、1932年には産業[[組合法]]を改正しました。これにより、農事実行組合などの農事小組合は簡易法人として認可され、産業組合への加入が可能になりました。

さらに、1933年には農村負債整理組合法が公布され、国庫からの低利融資の受け皿として集落単位の負債整理組合が設立されました。これらの組合の多くは、産業組合がその役割を担いました。

このような動きの中で、産業組合中央会は1933年から産業組合拡充5か年計画運動を開始し、その実行部隊として産業組合青年連盟（産青連）が組織されました。しかし、これらの活動は、商工業界からの反発（反産運動）も招くことになりました。

戦時統制

産青連はその後、新体制運動に合流し、農村共同体建設同盟に改組されましたが、1942年に解散を命じられました。

日中戦争が長期化すると、農業団体の統合が課題となり、1941年には中央農業協力会が結成されました。さらに1943年には、農業団体法が成立し、産業組合中央会などの団体が解散。中央農業会・全国農業経済会に再編され、協同[[組合]]から戦時統制団体へと転換しました。また、産業組合中央金庫は農林中央金庫に改称されました。

戦後、農業会は1948年までに農業協同[[組合]]へと移行しました。

都市金融

1917年の産業[[組合法]]改正により、都市部では、中小商工業者向けの市街地信用組合と準市街地信用組合に分けられました。市街地信用組合は都市部における金融機関として発展し、1943年には市街地信用組合法が成立。その後、信用金庫へと発展しました。