田寺俊信

田寺俊信

田寺俊信（たでら としのぶ）は、1882年（明治15年）12月30日に生まれ、没年は不明の日本の内務・警察官僚です。兵庫県出身で、官選県知事や姫路市長を歴任しました。族籍は兵庫県平民。

生い立ちと学歴

兵庫県議会議長であった田寺敬信の長男として生まれました。第三高等学校を卒業後、1909年に東京帝国大学法科大学法律学科（独法）を卒業。1910年11月には文官高等試験行政科試験に合格し、同年12月に内務省に入省、鳥取県属となりました。

官僚としてのキャリア

内務省入省後、鳥取県試補、同県八頭郡長、同理事官・庶務課長を歴任。その後、高知県、奈良県、長野県、香川県、埼玉県、愛知県といった各地で、理事官、教育課長、警察部長、内務部長などの要職を歴任しました。特に、警察行政においては、その手腕を発揮しました。

1926年9月28日には大分県知事に就任し、狂犬病対策に尽力。しかし、1927年5月17日に知事を休職しました。1929年9月10日には滋賀県知事に就任。濱口内閣の方針に従い緊縮予算を提出したことで県会多数派の政友会と対立しました。さらに、産米検査の実施を県営に移管することを提案しましたが、県会で二度否決。最終的には内務大臣の指揮を受け原案を執行しました。1931年1月20日には石川県知事に転任しましたが、同年12月18日に知事を休職し、1932年2月5日に依願免本官となり退官しました。

姫路市長として

1934年9月6日には姫路市長に就任。教育施設の充実や産業振興に尽力しました。一期務め、1938年9月5日に退任しました。市長としての実績は、後の姫路市の発展の礎となりました。

人物像

1914年に家督を相続。兵庫県飾磨郡高岡村に住み、読書や旅行を趣味としていました。多忙な公務のかたわら、知的な趣味を楽しむ人物でした。

家族

父は田寺敬信、母は田寺たか。妻は古沢滋の九女である田寺尚子。長男、長女、二女をもうけました。妻の父である古沢滋は、土佐勤王党員であり、自由民権運動家としても知られています。

参考文献

人事興信所編『人事興信録 第6版』人事興信所、1921年。
人事興信所編『人事興信録 第7版』人事興信所、1925年。
帝国秘密探偵社編『大衆人事録 第3版』帝国秘密探偵社、1930年。
校外調査会編『帝国大学出身名鑑』校外調査会、1932年。
山脇圭吉「日本帝國家畜傳染病豫防史(12)」『中央獸醫學雑誌』第47巻第4号、日本獣医学会、1934年。
歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
歴代知事編纂会編『日本の歴代市長』第2巻、歴代知事編纂会、1984年。
* 人事興信所編『人事興信録 第10版 下』人事興信所、1934年。

田寺俊信は、内務官僚、警察官僚として地方行政に貢献し、県知事、市長としてその手腕を発揮しました。彼の経歴は、日本の近代史における地方行政の一側面を深く理解する上で重要な資料となるでしょう。

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