田山幸憲

田山幸憲（たやま ゆきのり）とは

田山幸憲は、1946年10月3日に東京都で生まれ、2001年7月4日に54歳で亡くなった、日本のパチプロ、パチンコライターです。彼の生涯は、パチンコと文学、そして闘病生活という、波乱に満ちたものでした。

生い立ちとパチンコとの出会い

田山は、東京都立小石川高等学校を卒業後、船乗りを目指しましたが、視力不足で断念。その後、東京大学を目指し、1966年に文科三類に合格しました。しかし、大学では学業に身が入らず、ある日、偶然再会した友人とパチンコを打ったことがきっかけで、パチンコの世界に足を踏み入れました。大学在学中は、パチンコ、麻雀、アルバイトに明け暮れ、放蕩三昧の生活を送りました。その後、東大紛争による強制留年を経て、1970年に大学を自主退学しました。

パチプロとしてのキャリア

東大退学後も放蕩生活は続きましたが、セミプロとしてパチンコを打つうちに、他のプロたちと交流を深め、技術を磨いていきました。1973年、26歳でパチプロとして本格的に活動を開始します。1976年には、知人の代打で夕刊紙に連載した呑み屋のルポが好評を博し、パチンコに関するコラムの執筆依頼が舞い込むようになりました。当時としては珍しい「文章を書けるパチプロ」として、重宝されました。1977年末には一度パチプロを引退し会社員になりましたが、半年で退社し、パチプロに復帰しました。

1986年には、大阪で塗装業に挑戦しますが、体力的な問題から断念。東京に戻り、その後も5年ごとにパチプロから足を洗いたいという衝動に駆られたそうです。この頃から、東大中退という異色の経歴を持つパチプロとして、多くの取材や執筆依頼が殺到しました。

1988年、パチンコ必勝ガイド編集長の末井昭と出会い、1989年には『田山幸憲のパチプロ日記』の連載を開始します。この連載は10年以上に渡る長期連載となり、田山のライフワークとなりました。

パチプロ日記連載以降の生活

『パチプロ日記』の連載開始以降、田山のパチプロ生活は変化を遂げました。短期間でのネグラ替えが増え、体調を崩すことも多くなりました。1992年には、実家を売却し、世田谷区に引っ越しました。その後も、ネグラを転々とし、1995年秋頃には舌がんが発覚、手術を経て退院しました。しかし、2000年4月には舌がんが再発、2001年1月に『パチプロ日記』の連載を休載しました。

晩年と死

2001年7月4日、田山は舌がんにより東大病院で亡くなりました。享年54歳。晩年、田山が好んで打っていたパチンコ機『ナナシー』と命日が重なるという偶然も重なりました。

人物像とエピソード

田山は、独特の言い回しや口癖、パチンコへのこだわりが人気を集めました。彼の信条として、「10回パチンコに行ったら9回は勝つ」「パチンコでその日の酒代を稼ぐ」「一緒に酒を飲まない奴は信用しない」などが知られています。また、食事をほとんど摂らず、酒だけを飲むという食生活を送っていたそうです。

著書の中で度々、「パチプロなんかになるもんじゃない」と述べているように、パチプロという職業に対しては否定的でした。競輪も趣味で、パチンコと競輪のどちらを優先するか悩むことも多かったようです。将棋や麻雀も好きで、特に溝の口時代は、通勤電車や喫茶店でスポーツ新聞の詰め将棋を解くことを楽しんでいました。

末井昭との関係

田山と末井昭の関係は、単なる編集者とライターの関係を超えたものでした。末井は、田山の原稿を連載化、書籍化へと導き、病気療養中も田山を支え続けました。最後に田山と接触した業界関係者も末井でした。

通ったパチンコ店（ネグラ）

田山は、生涯で数多くのパチンコ店をネグラとしていました。特に長く通ったのは池袋のS店で、彼のパチプロとしてのキャリアは、この店での出会いが大きく影響しています。他にも、池袋のI店や要町のM店、溝の口のB店、桜新町のH店、青葉台のB店、用賀のC店、H店などをネグラとしていました。

主な著書

田山は、数多くの著書を残しました。代表作としては、『パチプロ告白記』、『続・パチプロ告白記』、『パチプロけもの道』、『パチプロ日記』などが挙げられます。

まとめ

田山幸憲は、パチンコという特殊な世界で生き抜いた、異色の才能を持つ人物でした。彼の人生は、パチンコ、文学、そして闘病という、様々な要素が絡み合った、複雑で魅力的なものでした。彼の著作やエピソードは、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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