田島政次

田島 政次（たじま まさじ）は、1929年4月5日に佐賀県佐賀郡久保田村（現在の佐賀市久保田町）に生まれた日本の元陸上競技選手です。主に走幅跳の選手として国内外で活躍し、短距離走やリレー種目にも取り組みました。

幼少期、田島はオリンピックの記録映像に触れ、将来自身もその舞台に立つことを強く志すようになったといいます。陸上競技への情熱を胸に、佐賀県立佐賀工業学校（現在の佐賀県立佐賀工業高等学校）の機械科へ進学。ここで彼は走幅跳に本格的に取り組み始め、その才能を開花させていきました。

佐賀工業学校を卒業後、一度は社会人として経験を積んだ後、中央大学に入学。大学時代は田島の競技者としてのキャリアにおいて、特に輝かしい時期となりました。1950年から1953年にかけて、彼は日本陸上競技選手権大会の走幅跳で前人未踏の4連覇を達成。これにより、国内における走幅跳の第一人者としての揺るぎない地位を確立しました。

国際舞台でもその実力を遺憾なく発揮しました。1951年にインドのニューデリーで開催された第1回アジア競技大会では、得意の走幅跳で金メダルを獲得。さらに、細田富男、大橋敏宏、生駒一太といった強力なチームメイトと共に挑んだ400メートルリレーでも優勝を果たし、見事二冠を達成。アジアにおける日本の陸上競技の力を示す立役者となりました。

こうした目覚ましい活躍が評価され、1952年にフィンランドのヘルシンキで開催されたオリンピック競技大会に日本代表として出場する機会を得ます。ヘルシンキ五輪では、専門種目である走幅跳に加え、100メートル走にもエントリーしました。100メートル走は惜しくも予選敗退となりましたが、走幅跳では7メートル00を記録し、世界の強豪が集まる中で10位という健闘を見せました。

ヘルシンキ五輪後の1954年には、フィリピンのマニラで開催されたアジア競技大会に出場。この大会でも、彼はTAKATANI Yoshihiro、細田富雄、清藤亨と共に組んだ男子400メートルリレーで金メダルを獲得。再びアジアの頂点に立ちました。

中央大学卒業後、一時的に競技生活から身を引いた時期もありましたが、1956年にオーストラリアのメルボルンで開催されるオリンピックを目指して現役復帰を決意。読売新聞社に所属しながら、再び走幅跳と400メートルリレーでオリンピックの舞台に立ちました。走幅跳では7メートル11を跳躍するも、残念ながら予選を突破することはできませんでした。赤木完次、潮喬平、清藤亨とチームを組んだ400メートルリレーも予選敗退となりました。

競技生活から引退した後も、田島はスポーツ界への貢献を続けました。日本オリンピック委員会（JOC）において、広報担当など要職を務め、日本のオリンピックムーブメントの推進と発展に尽力しました。晩年の2018年には、自身の輝かしい競技人生を彩ったメダルやユニフォームなどの貴重な記念品を、陸上競技への道を歩み始めた母校である佐賀県立佐賀工業高等学校へ寄贈。これは、後進の育成に向けた支援として大きな意義を持ちました。田島政次は、1950年代の日本陸上界を牽引し、国内外の舞台で数多くの実績を残した選手として、その名を刻んでいます。

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