田島泰彦

田島泰彦（たじま やすひこ）は、1952年生まれの日本の法学者で、憲法と情報メディア法を専門としています。長年にわたり上智大学文学部新聞学科で教鞭を執り、現在は早稲田大学大学院法学研究科で非常勤講師を務めています。

学歴と職歴

埼玉県秩父市出身の田島氏は、1975年に上智大学法学部を卒業後、早稲田大学大学院法学研究科で公法学を専攻し、博士後期課程を単位取得満期退学しました。その後、神奈川大学短期大学部で教鞭を執り、1999年からは上智大学文学部新聞学科教授として活躍しました。2018年に上智大学を定年退職しましたが、その後も早稲田大学大学院で後進の育成に励んでいます。また、毎日新聞社の「開かれた新聞」委員会委員も務めていました。

研究活動と主張

田島氏の研究は、憲法と情報メディア法の交差点に位置づけられます。特に、言論の自由、報道の自由、プライバシー、人権といったテーマに深く関わっており、その主張は社会に対して大きな影響を与えています。

2013年のアルジェリア人質事件では、被害者の実名が遺族の意向で非公開とされたことに対し、「テロの全容解明には被害者の情報公開が必要」と主張しました。この主張は、報道の自由とプライバシー保護という、相反する権利のバランスを問いかけるものでした。

また、特定秘密保護法に対しては、「自由や人権が規制される」と強い危機感を示し、警鐘を鳴らしています。この法律がもたらす可能性のある負の側面を指摘し、国民の知る権利が侵害される危険性を訴えました。

さらに、日本による対韓輸出優遇撤廃には反対の立場を表明し、「韓国は『敵』なのか」という声明に賛同しました。これは、国際関係における人権尊重や平和的解決を重視する姿勢を示しています。

著書

田島氏は、数多くの著書や論文を執筆しており、その研究成果は学術界のみならず、一般社会にも広く影響を与えています。主な著書には、以下のようなものがあります。

『人権か報道の自由か…個人情報保護法・メディア規制立法を問う』（日本評論社、2001年）
『この国に言論の自由はあるのか…表現・メディア規制が問いかけるもの』（岩波書店、2004年）

これらの著書では、個人情報保護法やメディア規制が、人権や言論の自由とどのように衝突するのか、また、これらの問題をどのように解決すべきかについて、深く考察しています。

その他、多数の共著や編著も手がけており、様々な角度から、情報公開、メディア倫理、人権問題について考察を深めています。

まとめ

田島泰彦は、現代社会における重要なテーマである、情報と人権、自由と規制といった問題に、法学者の立場から深く切り込んでいる人物です。彼の研究と発言は、私たちがこれらの問題について考える上で、重要な視点を提供しています。

田島氏の活動は、単に学術的な研究に留まらず、社会の様々な問題に対して積極的に発言することで、より良い社会の実現に貢献しようとする強い意志の表れと言えるでしょう。

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