田所竹彦

田所竹彦は、1935年8月6日に生まれ、2013年8月14日に没した、日本の著名なジャーナリストであり、中国評論家です。彼の生涯は、中国という国に対する深い関心と、それを日本社会に伝えようとする強い使命感に彩られていました。

ジャーナリストとしての足跡

田所氏は、単なるジャーナリストとしてだけでなく、中国研究者としての側面も持ち合わせていました。彼の著作は、中国の政治、経済、社会、文化、歴史といった多岐にわたるテーマを扱い、そのどれもが深い洞察と綿密な調査に基づいています。特に、激動の時代を生き抜いた中国の政治家や文化人、そして日中関係に焦点を当てた著作は、多くの読者にとって貴重な情報源であり、今日においてもその価値は失われていません。

主要な著作

田所氏の著作の中でも特に注目すべきは、以下の作品群です。

『したたかな隣人・中国』 (1979年)：中国を「隣人」として捉え、その実態を多角的に分析した初期の代表作です。当時の日本の中国に対する認識を大きく変える一助となりました。
『北京そぞろある記』 (1984年)：北京の街角を歩きながら、人々の暮らしや文化に触れたエッセイ集です。中国の日常を生き生きと描き出し、読者に親近感を与えました。
『一観中国二思日本 中国を見ながら日本を考える』 (1986年)：中国を考察することで、相対的に日本という国を見つめ直すことを試みた意欲作です。日中関係を深く考える上で必読の一冊と言えるでしょう。
『北京迷走 鄧小平・胡耀邦・趙紫陽の軌跡』 (1989年)：激動の中国現代史において重要な役割を果たした3人の政治家の足跡を丹念に追っています。中国の政治体制を深く理解する上で欠かせない著作です。
『孫文 百年先を見た男』 (2000年)：中国革命の父である孫文の生涯を、歴史的背景を踏まえながら描いた評伝です。孫文の思想や行動が、現代中国に与えた影響を考察しています。
『浪人と革命家 宮崎滔天、孫文たちの日々 真筆に見る日中の絆』 (2002年)：日中友好に尽力した宮崎滔天と孫文の交流を、貴重な資料とともに紹介しています。日中間の深い絆を改めて認識させてくれます。
『近代中国七人の猛女たち 西太后から江青まで』 (2005年)：近代中国史を彩った7人の女性たちに焦点を当てた著作です。彼女たちの生涯を通じて、中国の歴史や社会の変遷を垣間見ることができます。
『アジアの潮流と中国 半世紀の変動から見えるもの』 (2011年)：半世紀にわたるアジアの変動と中国の変容を分析し、今後のアジアの動向を考察した大作です。

その他の活動

田所氏は、著作活動の他に、翻訳にも力を注いでいました。特に、張承志の『紅衛兵の時代』の翻訳は、中国現代史を理解する上で重要な貢献となりました。また、多くの講演会やシンポジウムにも積極的に参加し、自身の知見を社会に還元していました。

晩年と遺産

晩年も精力的に活動を続け、その知識と情熱は多くの人々に影響を与えました。田所氏の著作は、中国研究における重要な文献として、今後も読み継がれていくことでしょう。彼の業績は、日中関係の理解を深め、両国の友好に貢献する上で、かけがえのない財産となっています。

田所竹彦は、中国という国を深く愛し、その複雑な姿を日本社会に伝えようとした、不屈のジャーナリストであり、偉大な中国評論家でした。

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