田畑茂二郎

田畑茂二郎（たばた しげじろう）は、1911年3月22日に生まれ、2001年3月8日に生涯を閉じた、日本の著名な法学者です。専門は国際法であり、その分野における深い知識と卓越した研究業績で知られています。京都府舞鶴市出身で、その学術的なキャリアは、京都府立舞鶴中学校から始まり、第三高等学校を経て京都帝国大学法学部へと進みました。

1934年に京都帝国大学法学部を卒業後、同大学の助手として研究と教育の道に進み、1938年には助教授、1945年には教授に昇進しました。1961年には、京都大学から法学博士の学位を授与されました。学位論文は「国際法における承認の理論」であり、この研究は彼の国際法研究における重要な基盤となりました。

田畑教授は、1965年から1966年にかけて京都大学法学部長を務め、その後も京都府立大学および京都府立大学女子短期大学部の学長を1974年から1980年まで務めました。さらに、1981年から1987年まで京都芸術短期大学の学長も務めるなど、教育機関の長としてもその手腕を発揮しました。また、1978年には世界平和アピール七人委員会委員に就任し、平和運動にも積極的に関与しました。1980年には、その学術的功績が認められ、日本学士院会員に選出されました。

1992年には世界人権問題研究センター設立研究会の会長に就任、1994年には同センターの所長に就任し、人権問題の研究にも力を注ぎました。国際法学会では1995年に名誉理事長に就任し、国際法分野の発展に尽力しました。

その長年にわたる貢献が評価され、1988年に京都新聞文化賞、1990年には京都府文化賞（特別功労賞）を受賞しました。1981年には勲二等旭日重光章を、1997年には文化功労者の称号を授与されました。1987年には、講書始で昭和天皇に「人権と国際法」について進講するという名誉ある機会にも恵まれました。

田畑教授は、国際法の理論と実践に関する多数の著書を執筆しました。主な単著には、『国家平等理論の転換』(1944年)、『国家主権と国際法』(1950年)、『世界政府の思想』(1950年)、『世界人権宣言』(1951年)、『国際法』(1951年)、『人権と国際法』(1952年)、『国際法における承認の理論』(1955年)、『国際法の話』(1966年)などがあります。これらの著作は、国際法学の発展に大きく貢献し、多くの学生や研究者にとって重要な参考資料となっています。

また、共著や編著も多数あり、田岡良一との共著『国際法講話』、編著『国際連合の研究』、高林秀雄との共編著『国際条約・資料集』、石本泰雄との共編著『国際法』など、共同研究や後進の育成にも力を尽くしました。

田畑茂二郎は、国際法の研究と教育、そして人権問題への取り組みを通じて、日本の法学界に大きな足跡を残しました。彼の業績は、今日においても国際法の分野において重要な指針となっています。

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