田端機関区

田端機関区：関東貨物輸送を支えた乗務員配置区

東京都北区に存在した田端機関区は、日本貨物[[鉄道]]（JR貨物）関東支社の管轄下に置かれ、乗務員を配置する拠点として重要な役割を担っていました。機関区という名称ながら、車両の所属は持たず、田端操駅に停車するJR貨物の電気機関車は、JR東日本田端運転所構内で管理されていました。

広範囲に及ぶ業務範囲

田端機関区の乗務員は、広範囲にわたる貨物列車の運行を担当していました。主な運行区間は、田端信号場駅を起点とし、隅田川駅、黒磯駅、高崎操車場、水戸駅、新鶴見信号場、越谷貨物ターミナル駅などを結ぶ路線でした。さらに、金町駅と新小岩信号場駅間の運行も担っていました。

水戸派出に所属する運転士は、いわき駅と隅田川駅・新鶴見信号場間を運行していました。一方、小名浜派出は乗務員配置区ではなく、貨車の検修を主な業務とする検修区所でした。

歴史と組織

田端機関区の歴史は、国鉄分割民営化という大きな転換点と深く関わっています。1987年（昭和62年）3月1日、国鉄分割民営化を前に、検修部門と旅客列車運転士は田端運転所へと分離されました。そして、同年4月1日、国鉄分割民営化に伴い、JR貨物関東支社の管轄となりました。

その後、長年にわたり関東地域の貨物輸送を支えてきましたが、2013年（平成25年）3月16日、乗務員区所と機関車留置区所としての機能は隅田川駅構内に新設された隅田川機関区に移転され、田端機関区は廃止となりました。

田端機関区の役割

田端機関区は、機関車の管理ではなく、乗務員の配置と管理を主な業務とする機関区でした。そのため、機関区内には機関車は留置されておらず、近隣のJR東日本田端運転所構内に留置されていました。乗務員の配置状況や運行管理の効率化、さらには、乗務員の労働環境の改善といった側面からも、隅田川機関区への機能移転は必然的な流れだったと言えるでしょう。

田端機関区の廃止は、鉄道輸送における効率化と近代化を象徴する出来事であり、日本の貨物輸送史において重要な位置を占めています。その歴史と役割を知ることは、現代の鉄道輸送システムを理解する上で不可欠です。

参考文献

藤川憲一・吉岡智文「JR貨物検修基地・運転基地の概要」『鉄道ピクトリアル』No.798（2008年1月）pp.28-30 電気車研究会

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