田端運転所

田端運転所：その歴史と役割

田端運転所は、かつて東京都北区東田端に位置し、東日本旅客鉄道（JR東日本）首都圏本部に所属する現業機関でした。2022年4月までは電気機関車が所属する車両基地でしたが、組織再編により車両の所属および検修部門は尾久車両センターに移管。2023年6月1日には、周辺駅と共に田端統括センターへ再編され、その歴史に幕を閉じました。

概要

運転所は尾久駅西側構内、尾久車両センター南側に隣接。2022年3月まで電気機関車のみが配置されていました。組織再編後は、臨時行路を担当する運転士の所属機関となっていました。民営化前は「田端機関区」と呼ばれ、現在も本庁舎玄関横にはその表札が掲げられています。

電気機関車交番検査庫は尾久車両センター南端に位置し、北方検修庫と呼ばれる簡易な検修施設も併設。構内は複雑な線路配置で構成され、田端運転所、尾久駅、尾久車両センター、JR貨物田端信号場の線路が交錯していました。

分割民営化後もJR貨物との貨物運用委託契約により、常磐線方面の貨物列車牽引にEF81やEF510が使用されていましたが、2013年3月以降はJR貨物所属のEH500が中心となりました。

2022年4月以降は、観光列車「カシオペアクルーズ・カシオペア紀行」や臨時列車に運転士が携わるのみとなっていました。運転士は、カシオペア紀行、工事用臨時列車、電車の検査に伴う入出場回送列車の牽引などで運用されていました。

歴史

1896年：日本鉄道の田端機関庫として開設
1906年：鉄道国有法により官設鉄道の田端機関庫となる
1936年：田端機関区に改称
1986年：国鉄分割民営化を控え、旅客列車担当を田端運転所、貨物列車担当を田端機関区として分離
1987年：JR東日本田端運転所となる
2022年：所属車両と検修部門を尾久車両センターへ移管
2023年：田端統括センター田端オフィスとして再編

配置車両（移管時まで）

田端運転所は、JR旅客会社で唯一、電気機関車のみを配置する車両基地でした。主な業務は、「カシオペア紀行（クルーズ）」の牽引、検査入出場車両の配給列車の牽引、緊急時の救援用機関車の運転などでした。ぐんま車両センター所属のDE10形ディーゼル機関車も常駐し、車両の入換作業に使用されていました。

電気機関車

EF81形電気機関車

全車が高速旅客列車牽引対応で、一部は「北斗星」塗装。81号機はローズピンク色、95号機は「スーパーエクスプレスレインボー」塗装でした。139号機は双頭連結器を搭載し、電車等の配給輸送に使用されました。水戸地区には工事列車や救援用として2両が常駐していました。

EF65形1000番台電気機関車

1102 - 1103（スノープラウ装着車）・1115号機（スノープラウ非装着車）が配置。宇都宮運転所に常駐し、工事列車や救援用に使用されました。

EF58形電気機関車

お召し列車牽引専用機の61号機のみが保管されていました。2023年5月に廃車。

車両無配置になるまでの当区におけるEF81形

1973年から東北本線や常磐線で貨物列車や寝台特急を牽引。1988年からは「北斗星」「カシオペア」の牽引を担当しました。2010年に定期運用を終了し、その後は工事臨時列車や救援用として使用されました。

EF81には、貨物列車牽引用の赤2号、寝台特急「北斗星」牽引用の北斗星色、寝台特急「カシオペア」牽引用のカシオペア色など、様々な塗装パターンがありました。

車両無配置になるまでの当区におけるEF65

1970年から寝台特急「あけぼの」の牽引を開始。1986年からは東海道線旅客列車も牽引しました。1019号機と1118号機には「レインボー」塗装が施されました。

今後の予定

JR東日本では、気動車型のレール輸送車両（キヤE195系）の導入を進めており、機関車牽引による工事用臨時列車は減少していくと考えられます。

その他エピソード

田端運転所は、JR東日本の他の車両基地とは異なり、「車両センター」を名乗っていませんでした。

このように、田端運転所は長年にわたり、首都圏の鉄道輸送を支えてきました。その歴史は、日本の鉄道史においても重要な位置を占めています。

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