田辺南鶴

田辺 南鶴（たなべ なんかく）について

田辺南鶴は、日本の講談師として広く認知されている名跡の一つです。この名跡は、田辺派の祖としての歴史を持ち、何人かの先代がこの名を継承してきました。特に、12代目の田辺南鶴は、彼自身にとっても大きな業績を残した人物です。

田辺派の基盤

田辺南鶴の名は、初代から12代目まで受け継がれてきました。初代は本名が不詳であるものの、武士の家系に生まれ、門下からは初代田辺南龍など多くの演者が輩出されました。このように、田辺派は長きにわたって伝統を守りながらも、次世代の育成に力を入れていたことがわかります。

二代目は初代旭堂南鱗の師匠となり、旭堂派の発展に寄与しました。三代目は武蔵の浪人で、軍談物に特化していたとされるものの、その詳細はあまり知られていません。四代目から五代目にかけては、伝統を引き継ぎつつ、初代柴田馨なども登場し、田辺派の名声はさらに高まりました。

十二代目 田辺南鶴の人生

12代目田辺南鶴、通称柴田久弥は、1895年8月2日に滋賀県長浜市で生まれました。幼少期に東京へ移り住み、中学校を卒業した後には唐物屋を経営していましたが、その傍らで寄席に通い、講談芸の世界に魅了されていくこととなります。彼は1910年に落語家の二代目三遊亭金馬に入門し、三遊亭金平と名乗りました。このように、落語の舞台での経験は、後の講談に大いに役立ったことでしょう。

1913年には三遊亭福馬と改名し、その後1915年には二代目三遊亭小圓朝の門下に入り、三遊亭一朝を襲名するに至ります。この時期の彼は、落語の世界での技術を磨き続けました。

その後、彼は1917年に講談へと転向し、五代目田辺南龍のもとで南郭を名乗ることになります。ここから彼は講談師としての評価を高め、田辺派の一員としての基盤を固めることとなりました。1938年にはついに12代目田辺南鶴を襲名し、新作の演目も数多く手掛けました。

教え子と影響

田辺南鶴は、その師匠である五代目田辺南龍や他の先代から多くの影響を受けつつ、独自のスタイルを確立しました。新作講談では「曲馬団の女」など印象的な作品があり、彼の演技は多くの人々に感動を与えました。また、彼の教え子も多く、田辺派の伝統を受け継ぐ後進の育成にも貢献しました。

最後に

田辺南鶴は、1968年6月23日に亡くなりましたが、彼の業績は今なお多くの講談師たちに受け継がれています。彼の豊かなフルリートと新作講談への情熱は、未来の講談界にも大きな影響を与え続けることでしょう。

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