田辺寿利

田辺 寿利 (たなべ すけとし)

田辺寿利（1894年3月15日 - 1962年1月25日）は、日本の著名な社会学者であり、特にフランス社会学の研究において重要な影響を与えました。北海道釧路市に生まれた彼は、1921年に東京帝国大学社会学科の選科を中退し、当時の著名な社会学者、建部遯吾の指導を受けました。

経歴

1927年、田辺は東京社会科学研究所の常務理事に就任。この研究所は尾高豊作と尾高朝雄兄弟によって設立され、大塚金之助が所長として後進の育成に貢献していました。田辺はその後、日本大学で講師を務め、さらに1938年にはモンゴル・蒙疆学院で副院長として職務を果たしました。

戦後は、東洋大学、東北大学、金沢大学などの教授を歴任し、社会学の発展に寄与しました。特に、彼はフランスの社会学者であるオーギュスト・コントやエミール・デュルケームの研究や紹介に力を入れ、社会学の分野での独自の視点と理論を発展させました。

言語社会学

田辺は言語社会学研究の分野でも先駆的な役割を果たしました。彼の主著には、1943年に発表した『言語社会学叙説』や、1965年に出版された『フランス社会学成立史』があります。また、彼はデュルケームの翻訳も手がけ、『社会学的方法の規準』を1942年に日本語に訳しました。

代表的な著書

田辺寿利は、多くの著作を残しており、その中には以下のようなものがあります：

• - 『フランス社会学史研究』 1931年 刀江書院
• - 『コント実証哲学』 1935年 岩波書店
• - 『言語社会学』 1936年 時潮社
• - 『コンドルセとその時代』 1948年 国立書院
• - 『フランス社会学成立史』 1965年 有隣堂出版

また、彼の著作集も出版されており、フランス社会学や言語社会学に関する集大成が収められています。これらは後世の社会学研究にとって非常に貴重な参考資料となっています。

兄弟

田辺には弟が一人いますが、彼は煙突男として知られています。弟の存在も、田辺の人生や研究に影響を与えた可能性があります。また、田辺の多才さは絵画や文学にも及び、彼自身の知見を広める要因となりました。

田辺寿利は寡黙ながらも情熱的な学者であり、彼の研究は日本の社会学における重要な基盤となっています。その業績は、現在でも多くの研究者や学生に影響を与え続けているのです。

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