田辺徳五郎

田辺 徳五郎

田辺 徳五郎（たなべ とくごろう）は、明治から昭和時代前期にかけて活動した日本の政治家、実業家、銀行家、そして大地主であり、神奈川県における多額納税者として知られています。1885年（明治18年）2月1日に誕生し、1947年（昭和22年）5月20日に逝去しました。旧姓は渡邊、旧名は眞吉（または真吉）と名乗っていました。

経歴

現在の神奈川県横浜市戸塚区にあたる、当時の神奈川県鎌倉郡戸塚駅の地で生を受けました。実家は渡邊家であり、渡邊三左衛門の弟にあたります。学業を修めるため長崎へ赴き、1909年（明治42年）に長崎高等商業学校を卒業しました。その後、横浜市石川中村町（現在の南区中村町）で広大な土地を所有し、金融業を営んでいた田辺徳五郎氏の養嗣子となります。養父の没後、その名跡を継いで「田辺徳五郎」を襲名しました。

実業家としての歩みは、1914年（大正3年）に設立した田辺合資会社から本格的に始まりました。

政治活動

政治の世界に足を踏み入れたのは、横浜市会議員選挙への当選でした。1922年（大正11年）に初めて当選して以来、1942年（昭和17年）までの長きにわたり、市政の発展に尽力しました。この期間中、1934年（昭和9年）からは横浜市会の議長という重責を担い、1942年（昭和17年）までその任にあたっています。さらに、1935年（昭和10年）には全国市会議長会において会長職を務めるなど、地方自治の振興にも貢献しました。

中央政界にも進出し、1942年（昭和17年）4月に行われた第21回衆議院議員総選挙では、神奈川県第1区から翼賛政治体制協議会の推薦を受けて立候補し、当選を果たしました。これにより、衆議院議員として一期務め、国政にも携わることとなりました。衆議院議員としての任期を終えた後も、再び横浜市政に貢献する道を選び、1945年（昭和20年）2月から1946年（昭和21年）にかけて、再び横浜市会議長を務めました。

その他の役職

政治活動と並行して、多岐にわたる事業や公共的な団体の運営にも深く関与しました。主な役職としては、横浜貿易倉庫の重役や、横浜商業会議所の議員を務めた実績があります。また、横浜植林や神中鉄道では監査役として経営を監督しました。金融分野では、神奈川県農工銀行や都南貯蓄銀行の取締役（都南貯蓄銀行では頭取も兼任）を務めています。交通インフラに関わる企業では、江ノ島電気鉄道の取締役、ガス供給を行う湘南瓦斯の取締役、製造業である光精機製作所の取締役を務めるなど、その関与は広範に及びました。さらに、食料品分野では東海醤油の取締役社長を務め、地域経済の活性化にも貢献しました。その他、横浜市復興信用組合長や横浜市教育会長といった要職も歴任し、戦災からの復興支援や教育振興にも尽力しました。

晩年と家族

太平洋戦争終結後、公職追放の対象となりました。追放中の1947年（昭和22年）に逝去しました。墓所は横浜市根岸共同墓地にあります。

家族としては、養父である田辺徳五郎氏がいます。妻のチヨ氏は、神奈川県の鈴木準蔵氏の二女です。子供たちについては、長男の文七氏（1916年生まれ）は後に田辺亮氏の養子となり、地主となりました。その他に二男、四男、そして六人の娘（長女から六女まで）がいました。

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