第21回衆議院議員総選挙

第21回衆議院議員総選挙の概要

1942年4月30日、日本で行われた第21回衆議院議員総選挙は、戦時下において唯一の国政選挙であった。この選挙は一般に「翼賛選挙」と呼ばれ、特定の政党に依存せず、国家の意思に従った政治家による新しい議会制度が形成される中で執り行われた。

選挙の背景

1940年には、既存の政党が自発的に解散し、次々と大政翼賛会に合流する状態が続いていた。これにより、政治家たちは軍部の方針を支持する形で翼賛議員同盟を結成。選挙はこの翼賛体制を強化する目的で実施されることになった。前回の選挙からの衆議院議員の任期は1941年に1年延長されていたが、政治体制の維持と反政府勢力の抑制を狙い、翼賛体制への移行が加速された。

推薦候補と選挙制度

選挙前の1942年2月には翼賛政治体制協議会（略して翼協）が設立され、そこから466人の候補者が選考される。この候補者は政府や軍から推薦を受け、選挙活動を有利に進めるための支援も受けていた。一方で、推薦されなかった候補者には厳しい選挙環境が待ち受けており、支援を得られずに無念の辞退を余儀なくされる者も続出した。

選挙制度は中選挙区制で、約14,594,287人の有権者が投票を行った。この選挙では、秘密投票と単記投票が採用され、満25歳以上の男性が選挙権を持っていた。

選挙結果と影響

投票率は83.1％に達し、翼協推薦の候補者381人が当選し、全体の81.8％の議席を獲得した。しかし、非推薦候補者もある程度の支持を集め、当選した者もいた。特に、戦後の政治において重要な役割を果たした非推薦候補も多く、その影響は計り知れなかった。

この選挙は、政治体制の維持と旧来の政党政治の排除が試みられたが、必ずしも成功したわけではなかった。選挙後も、戦争の影響が続く日本の政治はますます不安定な状況に陥っていく。

歴史的意義

第21回衆議院議員総選挙は、その特異な状況下で行われた歴史的な事件である。1946年には、女性の参政権が認められた選挙が予定されており、この選挙は男性のみの投票による最後の国政選挙となった。これにより、今後の日本の選挙制度は大きく変わることになる。翼賛選挙は今後の選挙のあり方に関する一つの警鐘ともなり、選挙の公正性や民主主義の重要性を再認識させる機会となった。

日本の翼賛選挙の実態は、その後の選挙制度に影響を与え、また国際的に「翼賛」と称される選挙の問題も提起する契機となった。

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