田辺智沙

田辺智沙：音楽と法律、二つの才能を活かす異色のキャリア

田辺智沙（たなべ ちは、12月23日 - ）は、作詞家、作曲家、編曲家として知られ、後に弁護士へと転身した異色の経歴を持つ人物です。旧名、田畑 智砂。かつては日音やHappy GO Luckyに所属し、音楽業界でその才能を発揮していました。

音楽家としての軌跡

5歳からピアノを始めた田辺は、16歳でバンド活動を開始。その才能が開花するきっかけは、世話になっていた事務所のマネージャーが彼女の楽曲を高く評価したことでした。商業音楽の世界へ誘われた田辺は、1985年に共立女子高等学校を卒業後、1989年には上智大学法学部法律学科を卒業。大学在学中からアルバイトとして作曲や歌手活動を行い、バブル景気に沸く音楽業界で多くの仕事に恵まれました。バンドはデビュー前に解散したものの、23歳でVAPヴォーカル・オーディション最優秀審査員賞を受賞。1990年には林哲司に見出され、作詞家としての道を歩み始めます。1992年には吉野千代乃の『Diving in the rain』でプロとしての第一歩を踏み出し、1993年には作曲家、そして編曲家としてもデビュー。広末涼子、松下萌子、内田有紀など、数々のJ-POP女性歌手に楽曲を提供しました。また、『ギャラクシーエンジェル』などのアニメ作品の主題歌も手掛けるなど、幅広いジャンルで活躍しました。

弁護士への転身

音楽業界でのキャリアが20年近くになった頃、田辺は自身の作っていたJ-POPが若者向けであること、そして自身の年齢が30代半ばを過ぎたことから、将来への不安を感じるようになります。若手才能が次々と現れる中で、自身が60歳まで仕事を続けられるのかという疑問を抱き始めました。そんな時、3人の子供を育てる母親として、児童虐待などの社会問題に関心を抱き、子供たちの代弁者として法律家になりたいという思いが芽生えます。大学時代には弁護士という選択肢も頭の片隅にはありましたが、当時は音楽に夢中で法律の知識は不十分でした。しかし、2008年に慶應義塾大学大学院法務研究科に入学し、2010年に卒業。見事司法試験に合格を果たします。

法律家としての新たな挑戦

2012年、パートナーズ法律事務所に勤務を開始。そこで知り合ったM&Aコンサルタントからの誘いを受け、2014年にはタイ王国バンコクのサムアイシティ法律事務所にコンサルタントとして勤務します。タイでの弁護士資格は持たないものの、得意の英語を活かして活動。夫を日本に残し、子供3人を連れてタイへ渡りました。2016年に帰国後、元々志していた子供の人権問題に取り組むため、独立志向を強め、2018年にマーザーバード法律事務所を設立。現在も弁護士として活躍しています。

主な作品

『こんな日は早起きしてあなたに会いたい』（作詞・作曲：田辺智沙、編曲：岩崎文紀、歌：近藤名奈）
『私がついてるじゃない?』（作詞：秋元康、作曲：田辺智沙、編曲：西平彰、歌：ともさかりえ）

著書

海外駐在弁護士が解説する中国・タイ・ベトナムの労働法の実務Q&A（2018年、労働調査会） - 五十嵐充、藤井嘉子、杉田昌平との共著

外部リンク

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