由井常彦

由井常彦について

由井常彦（ゆい つねひこ）は、1931年（昭和6年）6月14日生まれの日本の経営史学者です。経済学博士の学位を持ち、明治大学の名誉教授を務めています。専門は、日本経営史および日本経済史です。

生い立ちと学歴

由井常彦は、長野県南佐久郡青沼村（現在の佐久穂町）で生まれました。父親は木材と炭の商売をしていました。旧制武蔵高等学校を経て、東京大学経済学部を卒業。その後、東京大学大学院社会科学研究科に進み、1960年に経済史学の博士課程を修了しました。

研究と教育

1960年、明治大学経済学部の講師として教鞭を執り始め、1963年に助教授に昇進。1965年には、「中小工業政策の史的研究」で東京大学から経済学博士の学位を取得しました。1968年には、明治大学経営学部の教授に就任し、日本経営史研究所の専務理事も務めました。また、文部省大学設置審議会の委員としても活動しました。1998年に明治大学を退官し、名誉教授の称号を受けました。

退官後も、文京女子大学の教授を務めたほか、ロンドン大学、パリ大学、北京外国語大学で客員教授として教鞭を執りました。また、公益財団法人三井文庫の常務理事兼文庫長、財団法人日本経営史研究所の会長、名誉会長を歴任するなど、教育・研究活動に尽力しました。

研究分野

由井常彦の研究は、日本経営史および日本経済史を専門とし、特に中小企業政策、財閥、企業家精神など幅広いテーマを扱っています。その研究成果は、数多くの著書や論文として発表され、日本の経営史研究の発展に大きく貢献しています。

家族

由井家は、与志本代表・由井七郎右衛門の四男であり、由井定右衛門の甥にあたります。妻と長女、長男がいます。

著書

由井常彦は、数多くの著書を執筆しており、代表的なものとして以下が挙げられます。

『中小企業政策の史的研究』（東洋経済新報社、1964年）
『清廉の経営 『都鄙問答』と現代』（日本経済新聞社、1993年）
『都鄙問答 経営の道と心』（日経ビジネス人文庫、2007年）
『『都鄙問答』と石門心学　近世の市場経済と日本の経済学・経営学』（冨山房インターナショナル、2019年）
『安田善次郎 果報は練って待て』（ミネルヴァ書房、2010年）
『講話 歴史が語る「日本の経営」 その進化と試練』（PHP研究所、2015年）
『由井常彦回顧録 経営史研究の志とご縁と実践』（冨山房インターナショナル、2024年）

その他、多数の共編著、翻訳、論文があります。

論文

由井常彦の研究論文は、Ciniiで確認することができます。

参考文献

人事興信所編『人事興信録 第14版 下』（人事興信所、1943年）
『長野県人名鑑』（信濃毎日新聞社、1974年）
宝月圭吾編 『長野県風土記』（旺文社、1986年）
* 人事興信所編『人事興信録 第43版 下』（人事興信所、2005年）

由井常彦は、日本の経営史研究における重要な人物であり、その業績は今後も長く評価されることでしょう。

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