由利徹

由利徹の人生と芸業の軌跡

由利徹（ゆり とおる、1921年5月13日 - 1999年5月20日）は、日本の喜劇俳優で、特に1950年代から1960年代にかけて日本のお茶の間で親しまれた存在です。本名は奥田 清治（おくだ きよはる）。彼は、お笑いユニット「脱線トリオ」の一員として名声を博し、後のキャリアにおいても喜劇役者やコメディアンとしてクリーンな笑いを提供し続けました。

幼少期と初期の活動

宮城県の石巻市に生まれた由利は、3兄弟の長男として育ちました。父親は腕の良い大工であり幼少期から茶目っ気がありました。学校の学芸会では主役を務め、舞台の魅力に引き込まれていきます。1930年、小学3年生の頃に観たレビュー劇団に感動し、東京の劇団に入りたいと考えたものの、家庭の事情から叶わずじまいでした。

彼は一時はボクサーを志しましたが、1940年に家出して東京へ上京。ムーランルージュという劇団に入団し、1950年代に喜劇俳優としての活動を本格化させます。1945年に帰国し、ムーランルージュに復帰。この時期に森繁久彌とも共演し、喜劇の世界でのキャリアを築いていきます。

脱線トリオの栄光

1956年、南利明や八波むと志と共に「脱線トリオ」を結成。彼らはテレビ番組を通じて広く知られるようになり、そのユーモア溢れるコントが多くの人々に愛されました。1961年に脱線トリオは解散しましたが、由利はその後も様々な劇団や映画、テレビドラマで活躍を続けました。

この時期、彼の持ちネタとなった「オシャ、マンベ」や「チンチロリンのカックン」などのギャグは、時代を代表するものとなり、今なお多くの人に記憶されています。

晩年と受賞

1983年には故郷から市民栄誉賞を受賞し、1991年には日本喜劇人協会の会長に就任します。1993年には勲四等瑞宝章も受章するなど、その業績は広く評価されました。しかし彼の人生は1999年に肝臓癌により幕を閉じました。最期は親しい友人に囲まれており、その生涯を見守りながら逝ったことが家族によって語られています。

芸風と影響

由利の芸風は「エッチでありながら下品ではない」と評されるものであり、彼の持ちネタには性的な要素を含んだものが多く、その独特なスタイルが長年にわたって愛されました。また、彼のコントは後の世代のコメディアンにも大きな影響を与え、それが特に興味深いと言えるでしょう。

彼の弟子には、たこ八郎や三浦守などがいて、彼らのキャリアにも多大な影響を与えています。弟子入りを希望した多くの若手芸人に対し、彼は温かく接し、指導を行いました。

私生活と人間性

由利は2人の子供を持つ父親であり、私生活においては子煩悩な人物とも知られています。普段の彼はテレビで見せる姿とは異なり、端正でありながらも繊細であったと評価されており、金銭管理にも慎重だったようです。また、飲み友達として吉本興業の赤塚不二夫との深い友情がありました。

こうした多くの翻弄の中で、由利徹は笑いを通じて人々に元気を与え、喜劇の力を信じ続けた喜劇俳優として、今なお日本のエンターテインメント界に名を残しています。彼のユニークな持ちネタやコントは、今でも多くのファンに親しまれ、彼の存在は永遠に記憶されることでしょう。

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