脱線トリオ

脱線トリオ：昭和を彩った伝説の喜劇ユニット

脱線トリオは、昭和時代に一世を風靡したお笑いタレントグループです。由利徹、南利明、八波むと志という個性豊かな3人のメンバーで構成され、1956年に結成、1961年に惜しまれつつ解散しました。

メンバー

由利徹（ゆり とおる）: 1921年5月13日 - 1999年5月20日。宮城県石巻市出身。脱線トリオでは独特のボケを披露し、お茶の間の人気者となりました。解散後は俳優として活躍しましたが、1999年に肝臓がんで78歳で亡くなりました。
南利明（みなみ としあき）: 1924年3月14日 - 1995年1月13日。神奈川県横須賀市出身。脱線トリオではリーダー格としてまとめ役を担いました。解散後も俳優として活躍しましたが、1995年に肺がんにより70歳で死去しました。
八波むと志（はっぱ むとし）: 1926年12月1日 - 1964年1月9日。鹿児島県大島郡徳之島町出身。脱線トリオでは、由利のボケに対する的確なツッコミが持ち味でした。将来を嘱望されていましたが、1964年に交通事故により37歳の若さで急逝しました。

概要

脱線トリオは、トリオコントの先駆け的な存在として知られていますが、厳密には正式なお笑いグループではなく、個々の才能が集まったユニットという形式でした。メンバーはそれぞれ異なる事務所に所属しており、その点も異例でした。

結成当初は「売れない喜劇役者」だった3人ですが、脱線トリオとしての活動をきっかけにブレイク。テレビ番組への出演も増え、人気タレントとしての地位を確立していきました。しかし、その活動期間はわずか5年と短いものでした。

正式なグループではなかったものの、新宿コマ劇場で「脱線物語」と題した解散公演を行っています。解散後は、それぞれが単独で俳優として活動しました。また、八波の死後には、南と由利の2人でシングルレコードを発表したこともありました。この楽曲は現在でもカラオケで歌うことができます。

脱線トリオのメンバーは、お笑いタレントとして知られていますが、本業は喜劇俳優です。トリオ結成当時は俳優としては不遇の時代を過ごしていました。

ユニット名の由来

1950年代半ば、30代を迎えていた由利、八波、南は、売れない役者としてストリップ劇場の幕間などで細々と仕事をしていました。しかし、その寸劇が徐々に評判となり、日本テレビのプロデューサーから「お昼の演芸」という番組でコントを依頼されます。

この依頼に有頂天になった3人は、その夜に飲み明かしますが、深夜にタクシー運転手と乱闘騒ぎを起こし、警察に逮捕されてしまいます。翌朝釈放された際、由利が「昨夜は調子に乗って脱線しちゃったな」と漏らしたことがきっかけで、ユニット名が脱線トリオに決定したと言われています。

テレビ出演

脱線トリオは、数多くのテレビ番組に出演し、お茶の間に笑いを届けました。

お昼の演芸（日本テレビ）: 毎週水曜日の午後に放送されたお笑い番組。脱線トリオは、コント「たそがれシリーズ」を担当し、人気を博しました。由利のボケと八波のツッコミ、そして南のコミカルな演技が絶妙なハーモニーを生み出していました。しかし、八波が番組を抜けることがあり、その際には佐山俊二が代役を務めましたが、由利がツッコミに回ったため、本来の面白さを発揮することはできませんでした。
チロリン村とくるみの木（NHK人形劇）: 由利はニンジンのお巡りさん、南と八波はスカンクのガスパ役を担当しました。

脱線トリオは、短い活動期間ながらも、昭和のお笑い界に大きな影響を与えました。彼らの斬新なコントは、後の世代のお笑い芸人たちに多大な影響を与え、今なお語り継がれています。

関連項目

てんぷくトリオ

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