由起しげ子

由起しげ子の生涯と業績

由起しげ子（ゆき しげこ）は、1900年12月2日に大阪府堺市で生まれました。本名は新飼志げ（しんがい しげ）で、多才な女性として知られる小説家です。彼女は音楽の才能を持っており、神戸女学院音楽部在学中に著名な音楽家である山田耕筰から作曲を学びましたが、体調を崩し中退を余儀なくされました。

1924年には、画家の伊原宇三郎と結婚し、三男一女をもうけました。しかし、1945年に伊原と別居し、友人であり作家である神近市子の勧めを受けて文筆活動を開始しました。この決断が彼女の人生を大きく変えることになります。

作家としての歩み

1949年、由起しげ子は雑誌『作品』に短篇「本の話」を発表し、第21回（戦後再開第1回）芥川賞を受賞しました。この受賞により、彼女の名は広まり、作家としての道を歩み始めることになりました。その後も、彼女は多くの作品を執筆し、特に少女小説や中間小説の分野で活躍します。

1954年には『小説新潮』に掲載された「女中ッ子」が映画化され、大ヒットを記録しました。これにより、彼女はベストセラー作家として名を馳せることになります。

1960年には、小説『赤坂の姉妹』が川島雄三監督によって『赤坂の姉妹より 夜の肌』として映画化され、再び注目を集めました。また、彼女の墓所は富士霊園にあります。

主な著作一覧

由起しげ子は、様々なジャンルで多くの作品を残しました。彼女の代表的な著書には以下のようなものがあります：

• - 『厄介な女』（1950年）
• - 『春を告げる花』（1950年）
• - 『警視総監の笑ひ・本の話』（1951年）
• - 『コクリコ夫人』（1952年）
• - 『ルリ色の海』（1955年）
• - 『女中ッ子・この道の果に』（1955年）
• - 『語らざる人』（1955年）
• - 『今日のいのち』（1956年）
• - 『女性作家シリーズ 森茉莉・由起しげ子・萩原葉子』（1998年）

彼女の作品は、女性の視点から描かれたものが多く、時代の転換期における女性像を反映する重要な作品群となっています。

影響と評価

由起しげ子の作品は、特に女性の心理や社会的立場について鋭く描写されています。彼女の文学は、当時の読者に強い共鳴を与え、その後の作家たちにも影響を与えました。彼女は1969年12月30日に亡くなりましたが、彼女の作品や業績は今なお多くの人に読み継がれています。

由起しげ子の文学は、ただのエンターテインメントに留まらず、当時の社会問題や女性の生き方に対する深い考察を含んでいるため、今日でも重要な文献として評価されています。彼女の足跡は、日本女性文学史においてかけがえのない存在なのです。

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