甲宝シネマ

甲宝シネマ：甲府の街と共に歩んだ映画館の記憶

甲宝シネマは、かつて山梨県甲府市の甲府中央商店街に位置していた映画館です。その歴史は、前身である甲府宝塚劇場時代から数えると76年にも及びます。映画文化を支え、地域の賑わいを創出してきた甲宝シネマの足跡を辿ります。

甲府宝塚劇場から甲宝シネマへ

1936年（昭和11年）7月、甲府宝塚劇場は太田町に開館しました。設立者は、山梨県出身で阪急東宝グループの創設者である小林一三です。当初は芝居小屋「演技座」を買収し、劇場として再スタートを切りました。しかし、1945年（昭和20年）7月の甲府空襲で建物が焼失。翌年、春日町に移転し再開を果たします。

1956年（昭和31年）には、洋画ロードショー館「甲府シネマ」（後の甲府東宝プラザ）を増設し、2館体制となりました。1963年（昭和38年）には火災に見舞われるも、その後再建されています。

1990年代に入ると、施設の老朽化に加え、近隣の映画館が増設された影響もあり、甲府宝塚劇場と甲府東宝プラザを統合する形で、1997年（平成9年）11月8日に4スクリーンの「甲宝シネマ」が誕生しました。

閉館、そしてその後

2008年（平成20年）2月、甲宝シネマの運営は東宝東日本興行から関西共栄興行へ移管されます。当初は閉館も検討されましたが、地元の商店街の働きかけにより、甲府セントラル劇場の運営会社である中央興業が運営を引き継ぎ、存続が決定しました。

しかし、2013年（平成25年）、甲府101ビルの所有者との賃貸契約交渉が決裂し、同年4月14日をもって閉館。76年の歴史に幕を閉じました。

映画館閉鎖後、甲府101ビルは経営を継続し、2014年（平成26年）6月14日には甲宝シネマの施設を改装したエンターテイメントスペース「GAZ KOFU」がオープンしましたが、2015年（平成27年）に閉鎖。2018年（平成30年）からは複合型イベントスペース「SPACE101」として新たなスタートを切っています。

施設情報

甲宝シネマの音響システムは、スクリーン2にSRD-EX、SRD、DTSが導入されていました。また、乳幼児連れの観客のために託児所も設けられていました。

甲宝シネマは閉館しましたが、その名は甲府の映画史に深く刻まれています。そして、跡地であるSPACE101は、新たなエンターテイメントの発信地として、甲府の街に賑わいをもたらしています。


SPACE101
KOFU101 (@kofu101info) - X（旧Twitter）

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