甲山1号墳 (岡崎市)

甲山1号墳の概要

甲山1号墳は、愛知県岡崎市六供町にある古墳で、甲山古墳群を構成する一つです。この古墳は、丘陵地である甲山（標高64.5メートル）の頂上に位置しており、周囲には2号墳、3号墳、三ツ岩古墳といった他の古墳も存在していました。甲山という名称は、ヤマトタケル伝説に由来すると伝えられています。

従来は直径60メートル、高さ8メートルの円墳とされてきましたが、近年では前方後円墳である可能性も指摘されています。前方後円墳説では、南側に位置する2号墳、または西側の記念寺が前方部と見なされており、特に2号墳を前方部とする説では、墳丘長が120メートルにも及ぶ三河地方最大級の前方後円墳と推定されています。古墳の表面からは、円筒埴輪の破片が発見されています。

埋葬施設については詳しい情報は不明ですが、1944年の防空監視所や防空壕設置の際に木炭が出土したことから、木炭槨であった可能性が考えられています。また、この時、鉄刀も発見されましたが、残念ながら戦災で焼失しています。

築造年代は、出土品や墳形の特徴から、古墳時代中期の4世紀末から5世紀初頭頃と推定されています。また、古墳の周囲に存在した他の古墳は、陪塚であった可能性も指摘されています。

1972年には岡崎市指定史跡「甲山第1号墳」として指定され、現在もその価値が保護されています。

遺跡の歴史

甲山1号墳は、過去に何度か歴史的な出来事に関わってきました。1944年には、太平洋戦争中に墳頂に防空監視所が設置され、墳丘部には防空壕が掘られました。この時、木炭や鉄刀が出土したものの、戦災によって失われています。

1961年には、墳頂にサイレン塔「たつきの鐘」が設置され、時報として利用されました。1971年には、時報が音楽放送に変わり、朝6時に「草競馬」、夕方6時に「七つの子」、夜10時に「ウェストミンスターの鐘」が流れていました。

1972年7月5日には、甲山第1号墳が岡崎市指定史跡として正式に指定され、その歴史的価値が認められました。

文化財としての価値

現在、甲山1号墳は岡崎市指定文化財の史跡として保護されています。所有者は甲山寺であり、指定範囲面積は706.50平方メートルです。1972年7月5日に指定されてから、地域の歴史を伝える貴重な文化遺産として大切にされています。

まとめ

甲山1号墳は、その形状や規模、出土品から、古墳時代中期の三河地方における重要な古墳の一つと考えられています。円墳説と前方後円墳説の両方が存在しますが、いずれにせよその規模は地域最大級であり、古代の歴史や文化を知る上で欠かせない存在です。過去の歴史や出来事を経て、現在は岡崎市指定史跡として保護され、その歴史的価値を後世に伝えています。

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