甲田四郎

甲田 四郎

甲田 四郎（こうだ しろう）は、1936年（昭和11年）1月3日に東京都で生まれた日本の詩人です。本名は山中 一雄（やまなか かずお）といいます。中央大学を卒業後、彼は詩作の世界に進みますが、同時に東京の下町で和菓子店を経営するというユニークなキャリアを歩みました。店を切り盛りする日常の中で、彼は詩を紡ぎ続け、生活と創作という二つの異なる世界を両立させました。この生活に根差した視点が、彼の詩の世界に独自のリアリティと深みを与えていると言えるでしょう。

詩人としての活動においては、「潮流詩派の会」や「垂線」といった詩の結社に参加し、精力的に作品を発表しました。また、現代詩人会にも会員として名を連ね、日本の現代詩壇における存在感を確立していきます。

彼の詩業は、数々の権威ある賞によって高く評価されています。特に主要な受賞歴は以下の通りです。

1990年：詩集『大手が来る』により、第23回小熊秀雄賞を受賞しました。この受賞は、詩人としての地位を不動のものとしました。
2002年：詩集『陣場金次郎洋品店の夏』で、第4回小野十三郎賞に輝きました。この賞は、優れた詩集に与えられるものです。
2014年：詩集『送信』が、第32回現代詩人賞を受賞しました。これは現代詩人会が選出する賞であり、長年にわたる創作活動が高く評価されたことを示しています。

これらの受賞歴は、彼の詩が時代を超えて多くの読者や批評家に認められてきた証と言えるでしょう。

甲田四郎は多くの詩集を刊行しており、その主な著作には以下のようなものがあります。

『朝の挨拶 甲田四郎詩集』（潮流出版社、1975年）
『午後の風景 甲田四郎詩集』（潮流出版社、1982年）
『大手が来る 甲田四郎詩集』（潮流出版社、1989年）
『九十九菓子店の夫婦 詩集』（ワニ・プロダクション、1992年）
『昔の男 詩集』（ワニ・プロダクション、1994年）
『煙が目にしみる』（詩学社、1995年）
『日本現代詩文庫 甲田四郎詩集』（土曜美術社出版販売、1996年）
『陣場金次郎洋品店の夏 詩集』（ワニ・プロダクション、2001年）
『くらやみ坂 詩集』（ワニ・プロダクション、2006年）
『冬の薄日の怒りうどん 詩集』（ワニ・プロダクション、2007年）
『送信 詩集』（ワニ・プロダクション、2013年）

これらの詩集には、和菓子店を経営する日常から生まれる情感や、下町の風景、そして人間存在の機微が、独特の筆致で描かれています。生活者としての視点と詩人としての感性が融合した作品群は、日本の現代詩において独自の光彩を放っています。彼は現在も精力的に活動を続けており、その詩業は今後も多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

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