小熊秀雄賞

小熊秀雄賞

小熊秀雄賞は、北海道旭川市ゆかりの詩人、小熊秀雄（1901-1940）の偉業を後世に伝える目的で、1968年に誕生した文学賞です。小熊秀雄賞市民実行委員会と旭川市が共同で主催しており、全国から広く公募された詩作品の中から、特に優れた詩集に対して贈られます。

本賞の受賞者には、正賞として彫刻家・板津邦夫氏が丹精込めて制作した「詩人の椅子」が一脚、そして副賞として賞金30万円が授与されます。選考は、詩壇において活躍する複数の選考委員によって厳正に行われます。現在の選考委員は、アーサー・ビナード氏、堀川真氏、佐川亜紀氏、松井晶彦氏が務めています。

創設以来、小熊秀雄賞は多くの優れた詩人を発掘し、その作品を世に送り出す役割を果たしてきました。これまでに顕彰された主な受賞者と作品は以下の通りです。

第1回（1968年）：枯木虎夫『鷲』
第2回（1969年）：友田多喜雄『詩法―ベトナム反戦と愛の詩集』
第3回（1970年）：萩原貢『悪い夏』
第4回（1971年）：小野連司『鰻屋闇物語』 (準賞)ちひろなおみ『灯台』 (準賞)江原光太『穴』
第5回（1972年）：川田靖子『北方砂漠』
第6回（1973年）：川口昌男『海の群列』
第7回（1974年）：小坂太郎『北の儀式』 / 西岡寿美子『杉の村の物語』
第8回（1975年）：該当作なし (佳作)小松郁子『中庭にむかいて』 / (佳作)江原光太『吃りの鼻唄』
第9回（1976年）：片岡文雄『帰郷手帖』
第10回（1977年）：津坂治男『石の歌』 / 沢田敏子『市井の包み』
第11回（1978年）：うちだ優『寄留地』 / 福中都生子『福中都生子全詩集』
第12回（1979年）：石毛拓郎『笑いと身体』
第13回（1980年）：米屋猛『家系』
第14回（1981年）：佐合五十鈴『仮の場所から』
第15回（1982年）：阿部岩夫『不羈者』 / 和田英子『点景』
第16回（1983年）：大崎二郎『走り者』
第17回（1984年）：大谷従二『朽ちゆく花々』 / 岸本マチ子『コザ中の町ブルース』
第18回（1985年）：山本耕一路『山本耕一路全詩集』
第19回（1986年）：藤本瑝『非衣』
第20回（1987年）：岩淵欽哉『サバイバルゲーム』
第21回（1988年）：加藤文雄『南部めくら暦』
第22回（1989年）：弓田弓子『大連』
第23回（1990年）：甲田四郎『大手が来る』
第24回（1991年）：坂本つや子『黄土の風』
第25回（1992年）：佐川亜紀『死者を再び孕む夢』 (特別賞)金時鐘『原野の詩』
第26回（1993年）：宮本善一『郭公抄』
第27回（1994年）：佐藤博信『俗名の思想』
第28回（1995年）：坂井信夫『冥府の蛇』
第29回（1996年）：倉内佐知子『新懐胎抄』
第30回（1997年）：木津川昭夫『迷路の闇』
第31回（1998年）：長嶋南子『あんパン日記』
第32回（1999年）：嶋岡晨『乾杯』
第33回（2000年）：松尾静明『丘』
第34回（2001年）：こたきこなみ『星の灰』
第35回（2002年）：玉川鵬心『花嫌い 神嫌い』
第36回（2003年）：佐相憲一『詩集 愛、ゴマフアザラ詩』
第37回（2004年）：黒羽英二『須臾の間に』
第38回（2005年）：寺田美由記『かんごかてい（看護過程）』
第39回（2006年）：水島美津江『冬の七夕』
第40回（2007年）：斎藤紘二『直立歩行』
第41回（2008年）：新井高子『タマシイ・ダンス』 / 竹田朔歩『サム・フランシスの恁麼』
第42回（2009年）：浜江順子『飛行する沈黙』
第43回（2010年）：花崎皋平『アイヌモシリの風に吹かれて：長編物語詩』
第44回（2011年）：酒井一吉『鬼の舞』
第45回（2012年）：該当なし
第46回（2013年）：大江麻衣『にせもの：鹿は人がいないところには行かない』 / 与那覇幹夫『ワイド―沖縄』
第47回（2014年）：該当なし
第48回（2015年）：中島悦子『藁の服』
第49回（2016年）：網谷厚子『魂魄風（まぶいかじ）』
第50回（2017年）：山田亮太『オバマ・グーグル』
第51回（2018年）：該当なし
第52回（2019年）：柴田三吉『旅の文法』
第53回（2020年）：長田典子『ニューヨーク・ディグ・ダグ』
第54回（2021年）：冨岡悦子『反暴力考』 / 高岡修『蟻』
第55回（2022年）：津川エリコ『雨の合間：Lull In The Rain』
第56回（2023年）：鎌田尚美『持ち重り』
* 第57回（2024年）：姜湖宙『湖へ』

このように、小熊秀雄賞は長年にわたり、多様な感性を持つ詩人たちを励まし、日本の詩壇の発展に寄与しています。該当作なしの回や、準賞、佳作、特別賞といった形で、多角的に詩作品を評価する姿勢も特徴です。

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