甲賀三郎 (作家)

甲賀三郎について

甲賀三郎（こうが さぶろう）は、1893年に滋賀県で生まれ、1945年に逝去した日本の推理作家であり、戯曲作家でもありました。本名は春田能為（はるた よしため）であり、彼の作品は探偵小説のジャンルに大きな影響を与えました。

生い立ちと教育

甲賀は、滋賀県蒲生郡日野町に小学校教師のもとで育ちました。彼は幼少期から優れた成績を収め、特に算術においては教師をも上回る才能を示しました。1904年に大阪府に移り住んだ彼は、そこで文芸倶楽部などの雑誌に触れ、作家としての道を志すようになります。

その後、高等科を卒業し、上京して実業家の家に身を寄せ、進学を果たします。二年後、東京帝国大学工科大学に入学し、応用化学を学びました。卒業後も研究所に勤務しつつ、探偵小説を執筆し始め、1923年には『真珠塔の秘密』でデビューを果たしました。

作家としての活動

甲賀は、探偵小説家としてのキャリアを築く過程で、江戸川乱歩や大下宇陀児らと交流を持ち、彼らとともに「本格派」としての地位を確立しました。特に、『真珠塔の秘密』の成功を機に、彼は一気に人気作家としての名声を得ています。

彼の作品は、科学知識を駆使してトリックを展開するものが多く、読者を楽しませました。また、探偵小説の枠を超えて、彼は戯曲にも挑戦し、舞台作品も数多く手がけました。中でも『闇とダイヤモンド』や『恐怖の家』は高い評価を受けています。

人物像

甲賀は、将棋や麻雀、旅行といった趣味を楽しむ一方で、家族への配慮も忘れない心優しい人物でした。「甲賀シャベロウ」と称されるほどの話好きで、多くの仲間を助けたエピソードも残っています。彼は自身の侘しい身の上を承知で、学問と創作活動を通じて多くの作品を世に送り出しました。

本格派探偵小説の先駆者

彼は探偵小説の「本格」という言葉を初めて用いた作家の一人とされており、その後の作風にも影響を与えました。乱歩が「変格派」となる中、甲賀は一貫してトリックとプロットを重視し、文学の結合を追求しました。

晩年と死

晩年、戦時体制の厳しさの中で創作活動が制限され、執筆の機会に恵まれない苦しみを味わいました。1945年、急性肺炎により逝去する際も、その才を持つ多くの仲間から惜しまれました。彼の作品はその後も評価され続け、彼の生きた時代を超えて後の作家や読者に影響を与えています。

まとめ

甲賀三郎は、日本の推理小説界で重要な役割を果たし、本格派探偵小説の確立に寄与した作家です。彼の生涯と作品は、今なお多くの人々に愛され続け、文学の世界において確固たる足跡を残しています。

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