男池湧水群

大分県由布市庄内町阿蘇野に位置する男池湧水群は、名水百選に選定されている、豊かな自然に恵まれた湧水群です。九重連山の黒岳(標高1,586m)北側に広がる男池(標高850m)から湧き出ており、大分川水系の阿蘇野川の源流の一つでもあります。

この湧水群の源となるのは、黒岳の地下水です。長い年月、数ヶ月から一年以上もの時間をかけて地層をゆっくりと通過することで、カルシウムなどのミネラル成分を適度に含んだ、まろやかな水となります。また、微量の炭酸ガスが含まれていることも特徴です。

その水質は、炭酸水素カルシウム型で、硬度は107.57mg/Lと軟水に分類されます。水温は年間を通してほぼ一定の12.6℃を保ち、湧出量は一日あたり約2万トンにも及びます。古くから地元住民の生活用水や農業用水として利用されてきたこの水は、近年ではミネラルウォーターとしても販売され、多くの人々にその恵みをもたらしています。

男池湧水群は、阿蘇くじゅう国立公園内にあり、周囲には整備された遊歩道が設けられています。豊かな自然の中で、ゆっくりと湧き出る清らかな水を眺め、その神秘的な雰囲気を楽しむことができます。散策路からは、湧水群の豊かな生態系や、周囲の景観をじっくりと観察することも可能です。湧水群周辺には、多様な植物が生息しており、季節によって変化する自然の美しさも堪能できます。

男池湧水群から東へ約2kmの場所には、天然炭酸水で知られる白水鉱泉があります。この地域は、良質な地下水が豊富で、古くから人々の生活と深く関わってきたことがわかります。男池湧水群を訪れる際には、合わせて白水鉱泉にも立ち寄ってみるのも良いでしょう。それぞれの湧水の個性に触れ、この地域の豊かな自然を満喫することができるでしょう。

男池湧水群は、その豊かな水量、安定した水質、そして美しい自然環境と相まって、地域住民にとってかけがえのない存在であり、同時に、多くの観光客を魅了する貴重な観光資源でもあります。これからも、この貴重な自然遺産を次世代へと引き継いでいくために、保全と保護の取り組みが重要となります。

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