町でうわさの天狗の子

町でうわさの天狗の子

『町でうわさの天狗の子』は、岩本ナオによる日本の漫画作品で、『月刊フラワーズ』（小学館）にて2013年まで連載されました。全12巻の単行本が発売されており、2009年にはTV Bros.マンガ賞、2010年には小学館漫画賞少女向け部門を受賞しています。

あらすじ

物語の舞台は、天狗を信仰する緑峰町。この町で噂になっているのは、天狗の神様である康徳坊の一人娘、秋姫です。天狗と人間の間に生まれた秋姫は、幼馴染の瞬から天狗になるための修行を勧められていますが、彼女の頭の中は同級生のタケル君のことでいっぱいです。

主要登場人物

刑部 秋姫（おさかべ あきひめ）

本作の主人公で、天狗である父・康徳坊と人間の母の間に生まれた「天狗の子」です。週に一度、山にいる父に会いに行きます。天狗としての名は緑峰山太郎坊秋姫で、山では「太郎坊」と呼ばれますが、本人はこの名前を嫌っています。天狗の血を引いているため、怪力ですが、修行をしていないため術は使えません。しかし、その潜在能力は非常に高く、修行を始めると、町を一望できる高さまで飛翔したり、雨雲を消し去ったり、強力な力を使うことができるようになります。中学時代からタケルに恋をしており、一度は付き合いますが、後に友人関係に戻ります。その後、幼馴染の瞬への気持ちに気づいていきます。友達思いですが、過去の経験から友人を作る際には慎重になります。大食いですが、これは力の制御が未熟なためです。

榎本 瞬（えのもと しゅん）

秋姫の幼馴染で、乳兄弟。人間ですが、天狗になるための修行をしています。天狗としての名前は緑峰山次郎坊瞬。赤ん坊の頃に緑峰山の麓に捨てられていたところを康徳坊に拾われ、秋姫と一緒に育てられました。一度見たものは忘れないほどの記憶力の持ち主で、学業も優秀。天狗になることを目指していたため、小学校と中学校には通っていませんでしたが、高校からは秋姫の監視と護衛のため、同じ学校に通うことになります。頭の回転が速く、判断力も高いことから、康徳坊からも信頼されています。無愛想に見られがちですが、面倒見が良く、女子からの人気も高いです。天狗の歴史や昔話に詳しく、古墳巡りが趣味です。

神谷 武（かみや たける）

秋姫が恋心を抱く男の子。大工の家系で、康徳神社を建てたのは神谷家の先祖です。学業は苦手ですが、手先が器用で、彼が作った像や達磨には神性が宿っているようです。また、妖を引き寄せてしまう性質を持ち、彼が作った鬼の面には実際に鬼が宿ってしまうほどです。天狗の娘と言われる秋姫にも偏見なく接してくれた唯一の人物で、瞬とも友人になります。爽やかな休日にホームセンターへ行くのが好きで、仏像マニアでもあります。

その他の登場人物

友人

松中 緑（まつなか みどり）: 秋姫の親友。緑峰町の町長の孫。クールで毒舌家ですが、ネガティブ思考な一面も。読書家で怪しい本が好き。
赤沢 千洋（あかざわ ちひろ）: 秋姫の中学時代からの友人。美少女でモテる。
金田一 麗華（きんだいち れいか）: 秋姫のクラスメイト。男らしい性格で面倒見が良い。
武蔵境 栞（むさしさかい しおり）: 秋姫のクラスメイトで、友達思い。
松任谷 紗綾（まつとうや さあや）: 秋姫のクラスメイト。料理や裁縫が得意。
万里小路 亜弓（までのこうじ あゆみ）: 元ミス茶渋中。モデル系美少女で、秋姫の憧れ。
烏丸 紅葉（からすま もみじ）: 京都の鞍馬山から来た烏天狗。群青高校に転校してくる。
西城 隼人（さいじょう はやと）: タケルの親友。男らしいナイスガイ。
毛利 紫（もうり ゆかり）: 生徒会長。

家族

康徳坊（こうとくぼう）: 秋姫の父親で、康徳神社の天狗。
刑部 春菜（おさかべ はるな）: 秋姫の母親。

眷属

緑峰山に住む、神の守護やお使いをする存在。修行中の身です。

三郎坊（さぶろうぼう）: 狐の眷属。
四郎坊（しろうぼう）: 狸の眷属。
五郎坊（ごろうぼう）: 兎の眷属。
六郎坊（ろくろうぼう）: 猿の眷属。
七郎坊（しちろうぼう）: 鶏の眷属。
八郎坊（はちろうぼう）: 猪の眷属。
九郎房（くろうぼう）: ホンシュウジカの眷属。
十郎坊（じゅうろうぼう）: マレーバクの眷属。
疾風（はやて）: 狼の眷属神。
白妙（しろたえ）: 白蛇の眷属神。

その他

石槌山五郎坊栄介（いしづちやまごろうぼうえいすけ）: 石槌山の天狗。
福山（ふくやま）: 梟の眷属神。森の賢者。
モコモコ: 戦国時代の合戦で倒れたもの。

用語

緑峰町（りょくほうちょう）: 天狗を信仰する町。
康徳神社（こうとくじんじゃ）: 天狗が住む神社。
緑峰山（りょくほうざん）: 康徳神社がある山。
群青高校（ぐんじょうこうこう）: 秋姫たちが通う高校。
緑峰中学校（りょくほうちゅうがっこう）: 秋姫たちが通っていた中学校。
赤飯中学校（せきはんちゅうがっこう）: 金田一たちが通っていた中学校。
鞍馬山（くらまやま）: 京都の山で、天狗の総本山。
神谷家（かみやけ）: タケルの家系。
天狗道（てんぐどう）: 六道から外れた道。

単行本収録作品

手をとって、そのままで

書誌情報

全12巻の単行本が小学館から発売されています。

外部リンク

* flowers公式サイト

もう一度検索