町見村

町見村の概要

町見村（まちみむら）は、愛媛県西宇和郡に存在した村で、1955年（昭和30年）までその歴史を持っていました。町見村は東側に隣接する伊方村と合併し、伊方町の一部となりましたが、地域名としての「町見」は、町見小学校などの公共施設に名を残しています。

地理

町見村は西宇和郡伊方町の中央部、佐田岬半島のほぼ中心に位置していました。北側は伊予灘、南側は宇和海に面し、地域は緩やかな山地と海岸線から構成されています。特に伊予灘側の海岸は険しく、平地は宇和海側の亀ヶ池周辺にわずかに存在しました。地形的には、町見村は中央に山地を抱えつつ東西に集落が等間隔に分布しています。

地名の由来

村名の町見は合併当時、九町（くちょう）と二見（ふたみ）のそれぞれの名称から一字を取り、新しい名称として命名されました。

地域の集落

町見村には、海岸線に沿い複数の集落が点在していました。地形の影響により、比較的穏やかな南側の宇和海沿岸は早くから開発され、一方で北側の伊予灘側は藩政期以降に開かれました。かつての集落は、宇和海側が「下場」（したば）、伊予灘側が「上手」（うわて）と呼ばれていました。また、村は東西に分かれており、東が九町、西が二見となっていました。

大字と集落

町見村は九町と二見の2つの大字から成り立っていました。九町小学校と二見小学校がそれぞれの大字に存在したものの、残念ながら現在は1校のみが残っています。二見には四つの集落が存在し、宇和海側には二見、加周、田之浦、古屋敷があり、伊予灘側には大成と鳥津があります。

行政と人口

村の役場は大字九町に位置していましたが、合併により伊方町となった後は町見支所として機能していました。1955年の時点での人口は8,233人に達しており、令和2年（2020年）には1,177人、580世帯に減少しました。

教育

町見村には以前の中学校は存在しませんでしたが、町見中学校が村立として設立され、合併とともに伊方町立中学校へと移行しました。現在、九町小学校が村内の唯一の小学校として存在しており、2015年に二見小学校と統合されています。

歴史

町見の歴史は古代まで遡ります。平氏の権勢が強まった時期には、当地は池大納言平頼盛の領地だったとされ、戦国時代には宇都宮房綱の領地になりました。1867年には二見浦の漁港が築造され、地域の発展を促しました。1875年からは二見鉱山が開かれ、1889年の町村制度施行により九町浦と二見浦が合併し、西宇和郡町見村が成立しました。近代においては、1955年に伊方町となり、町見村の自治体としての歴史は一旦幕を閉じました。

産業

町見村の経済は水産業と農業が主な柱でした。藩政期には宇和島藩がイワシ漁を推奨し、多くの漁港が設けられました。また、農業では米、麦、甘藷が自給されていました。鉱業も行われ、近隣の鉱山が開発されていましたが、1945年以降に閉山となりました。

交通

交通手段は制限されており、鉄道の敷設はありませんでした。海上交通が重要視されており、地域の港が船の寄港地となっていました。

名所

近隣には亀ヶ池があり、その風景は地域の名所として親しまれていました。

出身者

町見村には坪内稔典や金山正信といった著名な出身者がいます。

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