畑裕子

畑裕子：近畿を彩る作家

畑裕子（はた ゆうこ、本名ひろこ、1948年5月13日 - 2014年5月3日）は、日本の作家であり、特に近畿地方に関する紀行文や小説、歴史小説で知られています。彼女の作品は、地域の風土や歴史、そこに生きる人々の姿を鮮やかに描き出し、多くの読者を魅了しました。夫は元大阪市立大学教授（環境学）の畑明郎です。

生涯

畑裕子は、京都府大宮町（現在の京丹後市）で生まれました。奈良女子大学文学部国文学科を卒業後、京都府内の公立中学校で11年間国語教師として教鞭を執りました。1979年（昭和54年）には、滋賀県蒲生郡竜王町へ転居しています。

作家としての活動は、1993年（平成5年）に小説「面・変幻」で第5回朝日新人文学賞を受賞したことから本格的に始まりました。翌1994年（平成6年）には、短編小説「姥が宿」で第41回地上文学賞を受賞し、その才能を広く認められました。2009年（平成21年）には、『天上の鼓』で滋賀県文学祭芸術祭賞を受賞しています。

畑裕子は2014年5月3日、肺癌のため逝去しました。

作品の特徴

畑裕子の作品は、近畿地方の歴史や文化を背景にしたものが多く、その土地に根ざした人々の生活や感情を丁寧に描写しています。紀行文では、実際にその土地を訪れ、そこで感じたことや出会った人々との交流を活き活きと描き出しています。歴史小説では、史実に基づきながらも、登場人物の心情や人間関係を深く掘り下げ、読者に歴史の新たな一面を提示しています。

彼女の作品は、単なる歴史の物語ではなく、現代にも通じる普遍的なテーマを扱っており、多くの読者の共感を呼んでいます。

主な著書

『明智光秀ゆかりの地を歩く』（サンライズ出版編、サンライズ出版、2019年）
『女たちの義経物語：近江国鏡宿傀儡女譚』（サンライズ出版、2015年）
『百歳物語―絶望の大地に咲く花』（素人社、2012年）
『江』（角川マーケティング（角川グループパブリッシング）、2011年）
『天上の鼓』（サンライズ出版、2009年）
『花々の系譜―浅井三姉妹物語』（サンライズ出版、2009年）
『源氏物語の近江を歩く（近江旅の本）』（サンライズ出版、2008年）
『近江戦国の女たち』（サンライズ出版、2005年）
『椰子の家』（素人社、1995年）
『面・変幻』（朝日新聞社、1994年）
『近江百人一首を歩く（淡海文庫）』（サンライズ出版、1994年）

小説作品

「姥が宿」
「面・変幻」
「月童篭り」
「天上の鼓」
「天の衣山」
「虹の懸橋」
「花不動」
「婆さまとゆきべえ」
「臍の緒、五つ」

畑裕子の作品は、近畿地方の豊かな自然や歴史、文化に触れることができる貴重な資料であるとともに、人間の心の奥深さを描いた感動的な物語として、これからも多くの読者に読み継がれていくことでしょう。

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