留守第51師団

留守第51師団

留守第51師団（るすだいごじゅういちしだん）は、1941年から1945年にかけて大日本帝国陸軍に存在した部隊です。司令部は栃木県宇都宮市に置かれ、主に宇都宮師管における地域防衛、兵員の徴募、および訓練の実施を任務としていました。

沿革

第一次編成期（1941年 - 1944年4月）

関東地方北部を管轄する宇都宮師管は、1940年に新設された第51師団の担当区域でした。1941年（昭和16年）7月、第51師団が関東軍特種演習（関特演）参加のため、極秘のうちに動員されて満州へ出動した際、宇都宮師管の機能を維持するため、臨時に編成されたのが留守第51師団です。この部隊の名称は第51師団に対応していますが、独自の師団長と異なる指揮系統を持つ別の部隊として運用されました。この時期の留守第51師団は東部軍の指揮下にありました。しかし、1944年（昭和19年）4月4日に発令された昭和19年軍令陸甲第37号に基づき、内地に置かれていた五つの留守師団を基に新たな師団を編成する方針が定められます。この決定により、留守第51師団は解隊され、第81師団へと改組されました。

第二次編成期（1944年7月 - 1945年3月）

1944年7月6日に発令された昭和19年軍令陸甲第77号により、第81師団は動員され、宇都宮師管を離れることとなりました。これを受けて、再び宇都宮師管の管轄を担うため、留守第51師団が臨時部隊として再編成・動員されることとなります。この動員は同年7月10日から12日の間に完了するよう定められました。当時、連合軍による本土上陸の可能性が高まっており、東部軍は沿岸防備のための築城を急いでいました。留守第51師団もこの任務に関与し、1944年10月13日には臨時砲台の築城を命じられました。築城予定地は茨城県沿岸に集中し、磯浜（大洗町）、平磯・磯崎（ひたちなか市）、水戸付近、久慈（日立市）など、特に水戸市に近い海沿いが重点地域でした。一方、茨城県南部で鹿島灘に面した海浜地域では、第44師団が同様の築城任務にあたることになっていました。1945年（昭和20年）3月25日に第12方面軍が発した命令により、留守第51師団の作戦地域は茨城県東茨城郡以北と明確に定められ、水戸周辺とその沿岸地域へ速やかに進出することが求められました。しかし、この頃には部隊の組織体制の根本的な変更が進められていました。1945年2月9日の軍令陸第2号で臨時的な留守師団制度が廃止され、常設の師管区部隊が置かれることになりました。同日の軍令陸甲第25号により、留守第51師団司令部は4月1日をもって宇都宮師管区司令部に改称。2月28日の軍令陸甲第34号で師管区部隊編成と関連部隊復員が命じられ、留守第51師団は宇都宮師管区部隊発足の4月9日までに復員を完了。水戸周辺防衛は新設の第151師団へ引き継がれました。

歴代師団長

留守第51師団の歴代師団長は以下の通りです。

上野勘一郎 予備役陸軍中将：1941年7月7日 - 1942年4月1日
岡本保之 陸軍中将：1942年4月1日 - 1943年2月28日
平田正判 陸軍中将：1943年3月1日 - 1944年1月7日
古閑健 陸軍中将：1944年1月7日 - 1944年4月6日
白銀義方 陸軍中将：1944年7月8日 - 1945年4月1日

編成および配属部隊

戦後資料によれば、留守第51師団の編成は師団司令部と各兵科補充隊から成り、管轄区域内に配置されていました。その構成と所在地は以下の通りです。

留守第51師団司令部（宇都宮）
歩兵第66連隊補充隊（東部36部隊）（宇都宮）
歩兵第102連隊補充隊（東部37部隊）（水戸）
歩兵第112連隊補充隊（東部38部隊）（高崎）
捜索第51連隊補充隊（東部39部隊）（宇都宮）
野砲兵14連隊補充隊（東部40部隊）（宇都宮）
工兵第51連隊補充隊（東部42部隊）（宇都宮）
第51師団通信隊補充隊（東部43部隊）（宇都宮）
輜重兵第51連隊補充隊（東部44部隊）（宇都宮）

1945年2月11日の第12方面軍発足時、以下の部隊が留守第51師団に配属されていました。

第44師団の歩兵約1大隊（一部工兵を含む）。これらの部隊は後に原隊に復帰しました（3月25日以降）。
独立重砲兵第35大隊（ただし、第4中隊は欠けていました）。
防衛築城部第6工事隊の一部（全体の4分の1）。
特設警備第4大隊。

師団司令部の下には、兵事などを担当する以下の三つの連隊区司令部がありました。

宇都宮連隊区司令部
水戸連隊区司令部
* 前橋連隊区司令部

留守第51師団は、二度の編成期間を通じて宇都宮師管の防衛、兵員補充・訓練を担い、戦局末期には本土防衛のための沿岸築城なども行いました。

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