畠山持富

畠山持富：室町時代の武将、家督争いの影に

畠山持富（はたけやま もちとみ）は、室町時代後期に生きた武将です。河内畠山家の当主・畠山満家の三男として生まれ、尾張守の官位を持ちました。

生涯

持富の生涯は、兄たちの間で繰り広げられた家督争いに翻弄されたものでした。生誕年は不明ですが、応永32年（1425年）11月20日に元服しています。当時、室町幕府の将軍は足利義量が死去し空位であったため、兄たちと同様に、前将軍・足利義持から偏諱を受け「持」の字を与えられました。

嘉吉元年（1441年）、長兄の持国が家督を更迭され、次兄の持永に家督が与えられます。しかし、嘉吉の乱の影響で持国は赦免され、持永を討ち取り家督を奪還しました。この時、持富は持永の屋敷にいましたが、持国の手引きにより脱出しています。

その後、持国に嫡子がいなかったことから（庶子の義就は石清水八幡宮の神宮寺に出される予定でした）、持富は持国の後継者となります。しかし、文安5年（1448年）に持国は後継者を持富から義就に変更。宝徳2年（1450年）に義就が家督を継承しますが、持富はこれに異議を唱えることはありませんでした。それから2年後の寛正3年（1452年）に持富は死去しています。

しかし、この後継者変更に納得しない家臣団の一部が、持富の二人の息子、弥三郎（政久）・政長兄弟を擁立して持国父子に反抗。この動きが、応仁の乱の一因を作り出したとされています。

持富自身は家督を継ぐことはありませんでしたが、その存在は後の時代に大きな影響を与えたと言えるでしょう。彼の生涯は、室町時代の武家社会における家督争いの複雑さ、そしてそれが社会全体に及ぼす影響を物語っています。

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