足利義量

足利義量とは

足利義量（あしかが よしかず）は、室町時代中期の室町幕府第5代征夷大将軍です。在職期間は1423年から1425年と短く、19歳という若さで亡くなりました。

生涯

誕生と元服

1407年、第4代将軍足利義持の長男として生まれました。母は日野栄子です。1417年に元服し、正五位下右近衛中将に任じられました。父の義持は義量を非常に可愛がり、参詣や遊覧には必ず同行させたといわれています。

将軍職就任

1423年、17歳で父義持から将軍職を譲られました。この背景には、義持が朝廷や有力者たちに根回しをしていたことが推測されます。将軍就任の際には、諸大名や僧侶たちが馬や太刀を献上して祝ったとされています。翌年には参議にも任命され、朝廷においても一定の地位を得ました。これは、父である義持が若くして将軍職を譲った先例を踏襲したものでした。

早世

義量は、生まれつき病弱であったことに加え、大酒飲みであったため健康を害したと言われています。しかし、近年では同時代の史料に大酒飲みであったことを示す記述がないため、この説には疑問も呈されています。実際には、義持が度々禁酒令を出していたことによる誤解という指摘もあります。

義量は将軍職に就いたものの、実権は父の義持や有力守護大名らに握られており、自らの意思で政治を行うことはほとんどありませんでした。病を得て様々な治療を受けるも、1425年に19歳で急逝しました。後継者となるべき子や兄弟もいなかったため、義量の死は幕府に大きな混乱をもたらしました。

義量の木像は、栃木県足利市の鑁阿寺に所蔵されています。

人物

義量は病弱でしたが、父である義持から非常に寵愛を受けていました。義持にとっては、元服まで生き残った唯一の実子であったことが、その愛情をより一層深いものにしたと考えられます。大酒飲みと伝えられる件についても、義持が我が子を心配するあまり、禁酒を強く求めたという見方もあります。

また、義量の大叔父である足利満詮が亡くなる際、娘を義量に嫁がせることを条件に所領を譲りましたが、義持がこの娘を無理やり出家させ、義量と離縁させたという出来事もありました。

義量の死後、義量の叔父である義嗣の怨霊のせいだという噂や、義持が寺社統制のために行った石清水八幡宮の神人殺害に対する神罰であるとする噂が流れました。

経歴

1418年（応永24年）12月1日：元服し、義量と名乗る。正五位下右近衛中将に任官。
1423年（応永30年）3月18日：征夷大将軍宣下。
1424年（応永31年）1月12日：従四位下に昇叙。右近衛中将如元。
1424年（応永31年）10月13日：参議に補任。右近衛中将美作権守兼任如元。
1425年（応永32年）1月12日：正四位下に昇叙。
1425年（応永32年）2月27日：卒去。
1457年（康正3年）2月27日：贈従一位左大臣。

脚注

注釈

義量の将軍就任は、父である義持による計画的なものであったと考えられています。
義量の大酒飲みという説には、史料的な根拠が乏しいという指摘があります。

出典

『満済准后日記』
『花営三代記』
『看聞日記』
『薩戒記』
『大日本野史』

参考文献

* 伊藤喜良『足利義持』吉川弘文館〈人物叢書〉、2008年。ISBN 978-4-642-05246-7。

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