番町地区 (神戸市)

番町地区の概要

番町地区（ばんちょうちく）は、兵庫県神戸市長田区の三番町から六番町に広がる地域です。この地区は特に山手幹線（上沢線）より北側の五番町と六番町を指すことが多いです。かつては日本最大のスラムとされていた葺合村の新川スラムに次いで、神戸市内で二番目の規模を持つスラムでもあり、被差別部落として多くの歴史を抱えています。現在、神戸市は公的には「同和地区」として番町地区を指定していませんが、地域の歴史や文化には依然として過去の影響が色濃く残っています。

歴史的背景

江戸時代には、長田村に属する皮多村として知られ、その名は糸木という地名でした。1868年に神戸港が開港されると、全国から多くの貧しい人々が職を求めて集まり、スラムが形成されるようになりました。特に伝染病の流行を経て、兵庫県が.slum（スラム）対策を行った結果、貧しい人々が多く移住してきたのです。1935年の記録によると、この地区には1,057世帯、5,262人が居住しており、新川スラムに次いで神戸市で二番目に大きいスラムとされていました。その後、時代は進み、暴力団も地域の重要な要素となりました。

阪神・淡路大震災の影響

1995年に発生した阪神・淡路大震災は、この地区にも大きな影響を与えました。特に老朽化した木造住宅が密集していたため、震災による被害は甚大でした。被災後、新湊川の水害防止策として古い川底の改修工事が行われ、総工費は約186億円にのぼりました。この工事は川の流れを整えるものでしたが、地域の住民にとっては「差別の川」として長年にわたり不安を抱えて生きる理由にもなりました。

地域の文化とコミュニティ

1996年から1997年にかけて、部落解放同盟の番町支部が実施した調査によると、住民の間には独自の言葉遣いが存在し、これが自身が被差別部落出身であることを悟られる原因となっていました。このことから、住民は常に肩身の狭い思いをしている実情が明らかになりました。部落解放同盟の活動は1961年に始まり、様々な社会的取り組みを行ってきましたが、同対法の期限切れや活動員の減少により、2020年にはその活動が低下しました。

教育の取り組み

地域内の教育機関では、独自の取り組みが行われてきました。兵庫県立兵庫高等学校と共に校舎を共有する湊川高等学校では、全国初となる部落問題研究部が設立され、朝鮮語が正規授業科目として採用されるなど、多文化共生の重要性が認識されています。また、進級できなかった生徒のための特別教室や地域の青年を受け入れる取り組みも行われており、地域コミュニティの再構築が図られています。

番町地区は、過去の歴史や社会的背景とともに、今なお多くの課題を抱えつつも、進化を続けています。ここに住む人々が抱える独自の文化は、地域のアイデンティティの礎となっており、未来に向けた希望も見出されています。

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