異種ハドロン

異種ハドロンとは

異種ハドロン（exotic hadron）は、クォーク（と反クォーク）およびグルーオンから構成される亜原子粒子の一種です。しかし、その構成は通常のハドロンの分類には当てはまりません。

概要

通常のハドロンは、クォークモデルによってその構成が予測できます。しかし、異種ハドロンは強い相互作用によって束縛されているため、単純なクォークモデルでは説明できません。具体的には、以下の点で通常のハドロンと異なります。

異種バリオン: 通常のバリオンが3つの価クォークで構成されるのに対し、より多くの価クォークを含みます。
異種中間子: 通常の中間子が1つのクォークと1つの反クォークから構成されるのに対し、異なる構成を持ちます。

異種ハドロンは、通常のハドロンでは許されない量子数を持つ粒子を探索することで発見される可能性があります。近年、実験によって異種ハドロンの存在を示す兆候がいくつか見つかっていますが、素粒子物理学およびハドロン物理学において、いまだ議論の余地があるトピックです。

歴史

1960年代にマレー・ゲルマンらによってクォークモデルが提唱された当初から、異種ハドロンの状態や存在条件が理論的に示唆されていました。その後、量子色力学（QCD）が発展しましたが、3つのクォーク、またはクォーク - 反クォークの組み合わせのみがハドロンとして存在すべきであるという根本的な理由は見つかりませんでした。強い相互作用を媒介するグルーオンもまた、単独で束縛状態となりグルーボールを形成したり、クォークと結合してハイブリッドハドロンを形成したりすることが示唆されました。

しかし、異種ハドロンの決定的な証拠は長らく見つからず、数十年が経過しました。

異種ハドロン候補

現在までに、いくつかの異種ハドロン候補が報告されています。

X(3872): 日本のKEKのベル検出器によって発見されました。ダイクォークまたは中間子分子であるという様々な仮説が提唱されています。
Y(3940): 理論的な予測と一致しないチャーモニウムスペクトルを示す粒子です。
Y(4140): 2009年3月にフェルミラボで発見されました。
Y(4260): SLACのBaBar検出器によって発見されました。クォークと反クォークがグルーオンによって束縛された状態であるという仮説があります。

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