異邦人 -シルクロードのテーマ-

異邦人 -シルクロードのテーマ-

久保田早紀（現・久米小百合）のデビューシングル『異邦人 -シルクロードのテーマ-』は、1979年にリリースされた。この曲は、彼女の歌手としてのスタートを飾る作品であり、シングルのカップリングには「夢飛行」が収録されている。また、三洋電機のカラーテレビ「くっきりタテ7」のコマーシャルソングとして起用され、さらに太陽光発電システムのCMでも再び使用されるなど、多くの人々に親しまれることとなった。

制作の背景

当初、曲は『白い朝』というタイトルで制作されていたが、プロデューサーの酒井政利は「インパクトがない」との理由で曲名を『異邦人』に変更した。このタイトルに関しては、他にも『ストレンジャー』や『旅人』といった候補があったが、どれも却下され、最終的に久保田自身があまり気に入っていないという『異邦人』が採用されたという。歌詞もシルクロードをテーマにしたものに何度も書き直させられた結果、彼女の本来のイメージとは異なる仕上がりになった。

久保田が歌詞を書く際の素材となったのは、国立市に住んでいた彼女が通学時に見た風景で、子供たちが遊ぶ姿を思い出しながら書いたものである。歌い出しの「子供たちが空に向かい 両手を広げ …」というフレーズは、彼女の心に強く残った瞬間の影響を受けていると語られている。

商業的成功と評価

曲がリリースされてから、しばらくはヒットの兆しが見えず、久保田はそのことに戸惑いを隠せなかった。しかし、次第に人気が高まり、1979年11月にはオリコンチャートで55位にランクインし、最終的には1980年1月17日まで3週連続で1位を獲得するまでになった。合計で12週にわたりランキング入りし、売上も100万枚を超えるヒットとなったことは、彼女自身も驚くべき成果であった。

音楽的要素と影響

この曲では、中東風の雰囲気を強めるために、民族楽器のダルシマーが使用されている。編曲は萩田光雄が担当し、当初のアレンジとは異なった形で仕上げられたという。また、元々のピアノ演奏は久保田ではなく、羽田健太郎によって行われた。楽曲は、他のアーティストにも影響を与え、さまざまなカバーが生まれた。

特に注目したいのは、2003年にB'zの松本孝弘が坂井泉水（ZARD）を起用してカバーしたバージョンであり、ドラマ『あなたの隣に誰かいる』の挿入歌としても人気を博した。このカバー版は映像作品としても世に出ており、今なお多くの人に愛され続けている。

最後に

『異邦人』は、久保田早紀の代名詞ともいえる曲であり、アーティストの成長と時代を超えた普遍的なテーマが魅力を持っている。この曲の誕生から40年以上経た今もなお、多くのメディアで取り上げられ、様々な世代に感動を与え続けている。その存在感は、まさしく音楽の歴史において特別な位置を占めるものである。

もう一度検索