ダルシマー

ハンマー・ダルシマーは、ツィター属に分類される打弦[[楽器]]で、英語圏では「Hammered Dulcimer」として知られています。その特徴は、台形の共鳴体の上に張られた多数の金属弦を、ハンマーと呼ばれる小さな撥で叩いて音を出す演奏方法にあります。弦[[楽器]]の多くが弓で擦ったり、指で弾いたりして音を出すのに対し、ハンマー・ダルシマーは弦を叩くことで音を奏でる珍しい楽器です。この独特な奏法と音色から、「ピアノの先祖」と呼ばれることもあります。

ハンマー・ダルシマーは、その起源を西南アジアに持つと考えられており、同系統の楽器は世界各地に存在します。例えば、西南アジアのサントゥール、ハンガリーのツィンバロム、タイのキム、中国の揚琴（洋琴）、朝鮮のヤングム、ドイツのハックブレットなどが挙げられます。これらの楽器は、地域や文化によってそれぞれ独自の発展を遂げてきました。

アジアで使用されるダルシマーは比較的小型であることが多いですが、ヨーロッパではオーケストラでの使用を想定して、音域を広げるために大型化が試みられました。その結果、中には100キログラム近い重量を持つものも作られています。アメリカでは、ハンマー・ダルシマーはポピュラーな民族楽器の一つとして親しまれており、ヨーロッパからの移民によって持ち込まれました。

なお、アメリカには「アパラチアン・ダルシマー」と呼ばれる楽器も存在しますが、こちらは撥弦[[楽器]]であり、ハンマー・ダルシマーとは全く異なる楽器です。名称が似ているため混同されることがありますが、演奏方法も構造も大きく異なります。

日本においては、ハンマー・ダルシマーの著名な奏者として、小松崎健、MiMi、稲岡大介などが知られています。彼らの演奏活動を通じて、ハンマー・ダルシマーの魅力は日本国内でも広く知られるようになってきました。

ハンマー・ダルシマーは、その独特な音色と演奏方法から、様々な音楽ジャンルで使用されています。伝統音楽はもちろんのこと、現代音楽やポップスなど、幅広いジャンルでその美しい響きを聴くことができます。また、見た目の美しさから、楽器そのものがアート作品として捉えられることもあります。ハンマー・ダルシマーは、古くから伝わる楽器でありながら、現代においてもその魅力が衰えることなく、多くの人々に愛され続けている楽器と言えるでしょう。

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