畿内七道地震

畿内七道地震

畿内七道地震（きないしちどうじしん）は、奈良時代の734年に発生したとされる地震で、主に近畿地方で大きな被害をもたらしたと考えられています。この地震は、『続日本紀』などの歴史的文献に記録されており、その被害の深刻さが伝えられています。

地震の記録

『続日本紀』によれると、地震は天平6年の4月7日に起こり、地面が大きく揺れ、無数の家屋が倒れて多数の人々が圧死する結果となりました。さらに、山崩れや川の閉塞、地割れなどが相次ぎ、自然災害の影響が広範囲にわたりました。地震の5日後には、被害の状況を調査するために神社に遣いが派遣され、その後、天皇陵や著名な王の墓の被害も調査されました。このように、政府の対応も迅速かつ適切であったことが記録されています。

政治的な背景

地震の発生により、4月21日には天皇の政治に関する詔が発せられ、天変地異に対する神の意志を考慮した政治の必要性が強調されました。また、7月12日には大赦の詔が発表され、まさにこのように当時の天皇は天災の責任を自ら負う形で政治を行っていたことがうかがえます。

複数の歴史文献に見る地震

この影響は、『続日本紀』の他にもいくつかの歴史書に記録されています。『熊野年代記』では、地震により熊野の神倉が崩れ、火の玉が海に飛ぶという目撃談が記されていますが、信憑性については疑問視されています。また、『八木町神社誌』の中には、住吉神社の社殿がこの地震により破損した旨が記録されており、地震の影響が神社にも及んでいたことが確認できます。

地震のメカニズム

『続日本紀』に記載された「畿内七道」は、日本全国を指す「五畿七道」に相当し、当時の地震が日本の地形に及ぼした影響を示しています。この畿内七道地震は、南海トラフの地震と同類であるとする書籍も存在しますが、津波や温泉の湧出停止といった南海トラフ地震の特異な現象は観察されていません。

地震帯の活動

地震の原因については、誉田断層の活動が関連しているだろうとも考えられています。誉田山古墳において地震による変異が見られ、生駒断層の活動時期は放射性炭素年代測定を基に100年から1000年の間と推定されています。このような研究により、734年の地震が生駒断層帯に由来する可能性があることが示唆されています。

また、一部の研究者は、中央構造線断層帯においても地震が発生した可能性を挙げています。これにより、734年の地震の発生が今後の地震研究においても重要な位置を占めていることがわかります。

地震の規模

河角廣は吉野近辺（北緯34.3°、東経136.1°）を震央と仮定し、地震の規模をMK=4.3、マグニチュードをM=7.0と設定していますが、他の研究者たちは震央や規模について不明としているなど、現在のところ明確な結論は出ていないようです。

まとめ

畿内七道地震は、日本の歴史における大きな地震であり、その被害と影響は文献に詳細に описされています。奈良時代の天皇は、地震に対する責任を感じ、政治においても対応を急ぐ姿勢がうかがえます。現代においても、734年の地震は地震学において重要な研究対象とされています。

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