病弱

病弱について

「病弱」という言葉は、日常会話でよく使われますが、厳密な医学用語ではありません。一般的には、体が弱く、病気にかかりやすい状態を指します。『大辞林』第3版でも、「からだが弱く病気にかかりやすい」と定義されています。

語源と歴史

「病弱」の語源は、ラテン語の「valetudo」（健康状態）に由来します。これは、「valere」（力強くなる）という言葉が元になっています。英語では、1703年にウィリアム・ダンピアが著書で使用したのが初出です。

その後、1746年にはロバート・ジェームズが著書『健康の改善』で体質を説明するために使用するなど、意味合いが変化していきました。医学以外の文献では、神経衰弱に近い意味合いで用いられることもあります。

社会背景

1916年の田中祐吉の著書には、江戸時代に武士が玄米から白米を食べるようになったことが一般に広まり、栄養の損失から虚弱な人が増えたという記述があります。また、1920年の書籍には、医薬療法や呼吸法のほか、石塚式食養療法（玄米食を推奨する）が紹介されています。これらの記述から、時代背景によって「病弱」に対する考え方や対処法が異なっていたことが伺えます。

学校教育における病弱

学校教育法では、「病弱」は慢性の心臓、肺、腎臓などの疾患により、継続的な治療や生活制限が必要な状態を指します。また、病気ではないものの、同様に生活制限が必要な状態は「身体虚弱」とされます。

まとめ

「病弱」は、時代や文脈によって意味合いが変化する言葉です。現代においては、医学的な側面だけでなく、生活習慣や社会環境なども含めて、総合的に捉える必要があります。

参考文献

Pearce, J.M.S. (2006). “Valetudinarian” (pdf). European Neurology 57 (2): 125–125. doi:10.1159/000098102.
全国病弱養護学校長会編著 編『病弱教育Q&A. pt.1 病弱教育の道標』横田雅史監修（改訂版）、ジアース教育新社、2002年。ISBN 4-921124-05-1。

関連項目

* 病弱児 （学校教育法における）

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