瘧鬼(ぎゃくき)について
瘧鬼(ぎゃくき)は、
中国の伝説に登場する
妖怪や
疫鬼の一つで、人々に瘧病(まらりあ熱)を引き起こす存在として広く知られています。この
妖怪は、古代
中国の帝である
顓頊(せんぎょく)の子孫の一人がその正体とされ、古代から民間信仰の対象となり、さまざまな物語や故事が伝承されています。
起源と伝説
伝説によれば、
顓頊の子供たちの中には、瘧鬼、魍魎鬼、小児鬼の三人の
疫鬼が存在していました。瘧鬼は特に人々を苦しめ、熱病を引き起こす恐ろしい存在とされていました。このように、人々の間に恐怖が広がる中、瘧鬼にまつわる多くの話や信仰が生まれました。
瘧鬼の姿と活動
『
太平広記』や『太平御覧』などの古文書に描かれている瘧鬼の姿は、多様です。小児や鳥、時には婦人の形を取って現れると言われ、眠っている人々の前に出現し、近づくことで厄災をもたらすとされています。また、瘧鬼は身体に触れることで、罹患者に熱病の発作を引き起こすとも考えられていました。民間では、瘧鬼を追い払うことで快方に向かうと信じる人々も多かったのです。
瘧鬼への対処法
日本では、瘧鬼の存在を避けるためにさまざまな方法が試みられました。民間信仰の中では、瘧鬼の像を制作し、特別な
廟に祀ることが一般的でした。人々は発作が起こる前に、
廟や他の家に避難する風習、いわゆる「避瘧」を実践することで、瘧鬼の訪問を逃れようとしていました。この風習は、多くの地域で根付いた文化の一部となっていました。
特に、江西の高福に伝わる「断瘧符」というおふだが、瘧鬼の影響を防ぐとされ、一時期は多くの人々から信仰を集めていました。このおふだを受け取った人々は、疾病から身を守ることを期待していたのです。
日本における瘧鬼
日本においても、瘧鬼は記録に残されており、『
和名類聚抄』では「えやみのおに」として表現されています。日本での瘧鬼に関する記述は、
中国から伝わった信仰や物語の影響を受けており、本来の瘧鬼のイメージを保ちながら、日本独自の解釈も加えられてきました。
参考文献
瘧鬼に関する詳細な情報は、以下の資料を参考にすると良いでしょう。
このように、瘧鬼はただの
妖怪にとどまらず、古代人の恐れや信仰が結実した存在として、現在まで語り継がれているのです。