白いレガッタ

白いレガッタ（Reggatta de Blanc）

『白いレガッタ』（原題：Reggatta de Blanc）は、イギリスのロックバンド、ポリスによって1979年に発表されたセカンド・スタジオ・アルバムです。アルバムタイトルは、フランス語の「白いレガッタ」とジャマイカの音楽ジャンルであるレゲエ（Reggae）を組み合わせた造語であり、「白いレゲエ」とも解釈されます。これは、彼らの音楽性の根幹をなす、ポストパンクにレゲエやスカの要素を取り入れたスタイルを象徴しています。

成功と評価

本作の制作・発表は、まさにバンドの人気が爆発的な高まりを見せる時期と重なりました。イギリスで急速にその評価を高めていた彼らは、このアルバムに多様な音楽的アイデアと実験的なアプローチを積極的に導入しました。その結果、本作はイギリスのアルバムチャートでバンドにとって初の首位を獲得し、4週間にわたりその座を保持するという商業的な成功を収めました。これは彼らのキャリアにおける大きなブレークスルーとなりました。

アルバムからは複数の代表的なヒットシングルが生まれました。特に「孤独のメッセージ（Message in a Bottle）」は、その印象的なギターリフと普遍的な歌詞が世界中のリスナーを捉え、世界的な大ヒットを記録し、ポリスの代名詞ともいえる代表曲となりました。また、叙情的ながらも独特のリズムを持つ「ウォーキング・オン・ザ・ムーン（Walking on the Moon）」もシングルカットされ、こちらもイギリスのシングルチャートでナンバーワンを獲得するなど、本作の成功を後押ししました。

音楽メディアからの評価も高く、例えば2003年には米国の音楽雑誌『ローリング・ストーン』が選定した「オールタイム・ベストアルバム500」において369位にランキングされ、その後の改訂版では372位となりました。さらに、インストゥルメンタル楽曲であるタイトルチューン「白いレガッタ（Reggatta de Blanc）」は、1981年のグラミー賞授賞式で最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞を獲得しており、バンドの高い演奏技術と独特のサウンドが認められました。

収録曲

本作は以下の11曲で構成されています（国際盤基準）。スティングが単独で作曲した楽曲が多いですが、メンバー間の共作や、ドラマーのスチュワート・コープランドが単独で作曲した楽曲も含まれており、バンドとしての多様性が窺えます。各楽曲は、ポストパンクのエネルギーとレゲエのリズム、アンディ・サマーズによる空間的なギターワークが見事に融合しています。

1. 孤独のメッセージ（Message in a Bottle） - 4:51
作曲: スティング
2. 白いレガッタ（Reggatta de Blanc） - 3:06
作曲: スチュワート・コープランド, スティング, アンディ・サマーズ
3. イッツ・オールライト・フォー・ユー（It's Alright for You） - 3:13
作曲: スチュワート・コープランド, スティング
4. ブリング・オン・ザ・ナイト（Bring on the Night） - 4:16
作曲: スティング
5. 死の誘惑（Deathwish） - 4:13
作曲: スチュワート・コープランド, スティング, アンディ・サマーズ
6. ウォーキング・オン・ザ・ムーン（Walking on the Moon） - 5:02
作曲: スティング
7. オン・エニイ・アザー・デイ（On Any Other Day） - 2:57
作曲: スチュワート・コープランド
8. ひとりぼっちの夜（The Bed's Too Big Without You） - 4:26
作曲: スティング
9. コンタクト（Contact） - 2:38
作曲: スチュワート・コープランド
10. ダズ・エブリワン・ステア（Does Everyone Stare） - 3:52
作曲: スチュワート・コープランド
11. ノー・タイム・ディス・タイム（No Time This Time） - 3:17
作曲: スティング

国内盤について

後年にリリースされた日本国内盤の中には、特典要素を含むものも存在します。例えば、2005年に発売された一部のリマスター盤や紙ジャケット仕様盤はエンハンスドCD形式でリリースされ、パソコンで再生することにより、「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」のミュージックビデオを視聴できるようになっていました。

『白いレガッタ』は、ポリスが世界的なバンドへと飛躍する契機となっただけでなく、彼らの独自の音楽スタイルを確立し、その後のミュージックシーンにも影響を与えた記念碑的な作品と言えるでしょう。

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